日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-08] 高校生ポスター発表O08-P41~P60

2022年5月29日(日) 15:30 〜 17:00 オンラインポスターZoom会場 (1) (Ch.01)

15:30 〜 17:00

[O08-P43] 長野気温予想
〜過去の経験に基づく予報〜

*西澤 和都1 (1.長野県屋代高等学校)


1 研究動機
  日々移り変わる天気はとても興味深い。私は毎日空を観察し、簡単な天気予報をしている。その中で、長野地方気象台(以下:気象庁)が発表する気温の予報が実際の気温と差があることに気づいた。もっと正確に予測することはできないのだろうか。

2 現状(先行研究の分析)
 ①気象庁の予報について
  気象庁はスーパーコンピューターを用いて、さまざまな要素を取り込んだ「数値予報」というものを行い、天気・気温・風速など全てを計算している。その計算結果に、地方台の職員が修正を加えて発表する形となっている。
 ②気象庁の予想の正確さ
  2021年7月の気象庁の予想気温と実際の気温(長野県長野)を調査した結果、約3分の1が1℃以上の差があった。
 ③研究内容
 最低・最高気温をより正確に予報するために、自分で天気予報をしてみることにした。今回は、自分で集めた過去のデータを使って気温の予報をし、予報精度が良くなるかどうか研究する。気象庁との比較も行う。

3−1 [研究①]の方法
 毎日アメダスのデータから天気や風速、気温を記録し、大気現象による気温の変化の傾向を調べる。スプレッドシートにデータを入力し、分類をして規則性を見つける。また、天気図もスライドにまとめ、保存する。

3−2 [研究①]の結果
 前日の最高気温から最低気温までの差には[図1]のような規則性があった。各項目の大気現象につき、半数以上がある値の周辺1℃以内に収まっている。曇りは少し幅が広くなっている。風速による規則性も確かにあり、風が強い方が気温の変化は小さかった。グラフ内の幅は、風速による違いであることがわかった。

4−1 [研究②]の方法
 研究①で得られた傾向・規則性を予報に応用する。最低気温の予報の場合、まず、前日に気象庁の予想天気図を用いて、集めた過去の天気図と照らし合わせる。似た気圧配置のものを探し、当日の朝までの天気を予想する(気象庁の予報も参考)。その天気に基づいて、自分で集めた気温などの統計データから最も近いものをピックアップする。ピックアップした日の実際の気温差を最高気温から引いて、当日の最低気温を求め、四捨五入し予想気温とする。これを毎日繰り返し、予報の精度を検証する。

4−2 [研究②]の結果
 規則性に基づき予報した結果は[図2・図3]の通りである。予報と実際の値の差は気象庁より自分の予報の方が小さくなった。つまり、自分の方が予報精度が良かった。
ただ、急に冬型の気圧配置になるなど、経験がなく予想が不可能な日があった。また、低気圧の接近は高気圧ほど経験が多くなく、加えて低気圧がどこから接近するかで天気や気温が大きく変わるため、より多くの経験を積む必要があると感じた。

5 自分の提案
 気象庁はコンピュータに頼りすぎていて、細かい地点の予報があまりできていないと考える。天気図など大まかな現象はコンピュータにやらせた方が良いが、気温などの局地的な予報は過去のデータを用い、人間の経験に基づいたやり方の方がより精度が上がるのではないか。これと同様に、大きな災害につながる天候や降水量なども正確に予測できるようになると良い。

6 今後の展望(2年次へ向けて)
 驚くべきことに、今回は気象庁より自分の方が予報精度が良くなった。しかし課題も多く残った。
① 天気(晴れや曇り)の予測が当たらない時がある
② 経験が浅く、出現確率の低い現象に対応できない
③ 季節により気温差が異なる
④使っているデータが天気・風速・速報天気図だけである
 このような課題から、今後もデータをため続け、経験を積むことが重要であると感じた。また、上層天気図なども用いて天気や気温との対応を発見し、新たな予報材料としたい。2年次には、気温だけでなく天気予報についての研究にも発展させていきたい。

7 引用
  気象庁 (https://www.jma.go.jp)