日本地球惑星科学連合2022年大会

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[J] ポスター発表

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[O-08] 高校生ポスター発表O08-P41~P60

2022年5月29日(日) 15:30 〜 17:00 オンラインポスターZoom会場 (1) (Ch.01)

15:30 〜 17:00

[O08-P49] フィリピン海プレート起源の温泉と微動発生帯の空間的分布

*小林 ゆい1 (1.静岡県立静岡東高等学校)


キーワード:スラブ起源流体、スラブ起源温泉、深部微動

西南日本弧において、フィリピン海プレート (PHS) とともに大陸プレートの下に沈み込んだ海水は、マントルウェッジを構成するカンラン石を水和し、含水鉱物として深く沈み込んでいく。より深く、より高温になると含水鉱物は不安定になり分解して流体を放出する。この流体はスラブ起源流体と呼ばれ、西南日本弧において温泉や深部微動(微動)の発生に関与していると考えられている。本研究では、スラブ起源温泉と微動、共にスラブ起源流体が関わっていることに着目し、スラブ起源温泉と微動との関係、および、微動発生帯の空間分布について考察をおこなうことを目的とする。方法として、微動発生回数と、スラブ起源温泉のLi/Cl比のデータを用いて、微動と温泉の位置を東西南北にずらしながら、その重なりと相関を比較した。また、PHSの沈み込む方向を計算し、微小スラブ内地震の震源深さをもとにプレート表面の等高線を描くことで、沈み込んだPHSの境界の可視化をおこない、微動とPHSの表面深度(図1)、および、沈み込むスラブ内の1次元熱伝導で計算したPHS内部の温度と比較をおこなった(図2)。その結果、スラブ起源温泉は微動の震源位置の南側に湧出する傾向があること、微動発生帯がPHSの温度が約400 ℃の等温度帯に沿っていることがわかった。微動発生帯には伊勢湾と紀伊水道に空白域(ギャップ)があるが、伊勢湾ではPHS温度が約400 ℃となる上盤側にマントルウェッジがないことがわかった。また、紀伊水道のギャップではその沈み込み延長方向の四国北部で微動が起こって埋め合わせており、ギャップではないことがわかった。これらのことから、微動とスラブ起源温泉の発生には、上盤側がマントルウェッジであること、スラブ表面の温度が重要であることが示唆される。