11:00 〜 13:00
[PCG19-P09] 3次元グローバルMHDシミュレーションによる過去地球と現代タイタンの窒素大気散逸過程の比較
キーワード:タイタン、大気散逸、窒素
タイタンは、液体のメタン・エタンを表層に持つ/窒素主体の大気/大気圧が地表面で1気圧という、初期地球に近いとされる環境を持つ特徴的な衛星である。地球の大気進化を明らかにする上で、その比較対象としてタイタンの大気進化、特に大気散逸を解明することは非常に重要である。タイタン大気は94%が窒素で構成されており、タイタン窒素大気は主に非熱的散逸過程によって散逸するとされている(Michael et al.2005;Shematovich et al.2003;Cravens et al.1997)。しかし、タイタン窒素大気散逸の全球的な時空間変動は明らかになっていない。
そこで本研究は、3次元MHDシミュレーションを用い、タイタンと過去地球に関して窒素大気の全球的な非熱的散逸過程を模擬し、その違いや共通点を明らかにすることで、地球及びタイタンの窒素大気進化過程の解明に取り組んだ。太陽風条件を変えることで太陽風との相互作用による窒素大気散逸量の変化を調査し、タイタンと地球の散逸量の差に起因するパラメータを比較検討した。
静穏な太陽風条件(太陽風速度450km,密度7/cc,動圧1.19×10-9Pa,磁場強度7nT)の際、タイタン窒素大気の散逸率は5.97×1023/sであった。同じ太陽風条件で地球の散逸率を求めたところ、7.24×1025/sであり、約2桁地球の散逸率のほうが大きいことが判明した。この差は、以下の2点に関連すると解釈した。①過去地球の太陽XUVフラックスがタイタンの104倍大きく、大気起源の窒素イオンの生成が104倍程度大きい。②地球の重力はタイタンの10倍程度大きく、スケールハイトが1/10になるように抑制される。①と②に関連して散逸率に違いが生まれる可能性がある。太陽風の動圧を約57倍に増加させると、タイタンと地球の窒素大気散逸率はそれぞれ約6倍、約360倍増加した。
上記の結果から、タイタンと過去地球の窒素大気散逸にとって太陽XUV,天体重力,太陽風との相互作用の3点は主要な制御要因であることが示唆された。
今回の研究では、タイタンの計算範囲を電離圏上層部のみの範囲(900km以上)に限定しての計算であった。そこで今後は低高度を計算範囲に含めて散逸率を計算していく予定である。
そこで本研究は、3次元MHDシミュレーションを用い、タイタンと過去地球に関して窒素大気の全球的な非熱的散逸過程を模擬し、その違いや共通点を明らかにすることで、地球及びタイタンの窒素大気進化過程の解明に取り組んだ。太陽風条件を変えることで太陽風との相互作用による窒素大気散逸量の変化を調査し、タイタンと地球の散逸量の差に起因するパラメータを比較検討した。
静穏な太陽風条件(太陽風速度450km,密度7/cc,動圧1.19×10-9Pa,磁場強度7nT)の際、タイタン窒素大気の散逸率は5.97×1023/sであった。同じ太陽風条件で地球の散逸率を求めたところ、7.24×1025/sであり、約2桁地球の散逸率のほうが大きいことが判明した。この差は、以下の2点に関連すると解釈した。①過去地球の太陽XUVフラックスがタイタンの104倍大きく、大気起源の窒素イオンの生成が104倍程度大きい。②地球の重力はタイタンの10倍程度大きく、スケールハイトが1/10になるように抑制される。①と②に関連して散逸率に違いが生まれる可能性がある。太陽風の動圧を約57倍に増加させると、タイタンと地球の窒素大気散逸率はそれぞれ約6倍、約360倍増加した。
上記の結果から、タイタンと過去地球の窒素大気散逸にとって太陽XUV,天体重力,太陽風との相互作用の3点は主要な制御要因であることが示唆された。
今回の研究では、タイタンの計算範囲を電離圏上層部のみの範囲(900km以上)に限定しての計算であった。そこで今後は低高度を計算範囲に含めて散逸率を計算していく予定である。