日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS01] Outer Solar System Exploration Today, and Tomorrow

2022年5月26日(木) 10:45 〜 12:15 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:木村 淳(大阪大学)、コンビーナ:土屋 史紀(東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター)、Sayanagi Kunio M.(Hampton University)、コンビーナ:Young Cindy(NASA Langley Research Center)、座長:土屋 史紀(東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター)、斎藤 義文(宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所・太陽系科学研究系)


11:45 〜 12:00

[PPS01-10] ジオコロナの影響を考慮した紫外線宇宙望遠鏡計画LAPYUTAに向けた氷衛星プルーム観測の科学検討

*古賀 亮一1土屋 史紀2村上 豪3桑原 正輝4堺 正太朗2木村 智樹5吉岡 和夫6木村 淳7高木 聖子8山崎 敦3亀田 真吾4 (1.名古屋大学、2.東北大学、3.宇宙科学研究所、4.立教大学、5.東京理科大学、6.東京大学、7.大阪大学、8.北海道大学)

キーワード:氷衛星、エウロパ、紫外線

木星衛星エウロパやガニメデ、土星衛星エンケラドスの氷の表面の下には海が存在するとされる。Roth et al (2014)はHSTによって、エウロパのリムで南極付近のHI 121.6 nm, OI 130.4 nmの発光が周辺より卓越している現象を観測した。彼らはプルーム中のH2Oの電子衝突解離励起によってこれらの発光が起こったと考えている。しかし、エウロパプルームの観測例は非常に乏しいため、ガスやダストのプルームが発生する地理的な条件はいまだにわかっていない。プルーム蒸気が必ずしも地下海から通っているとは限らないが、氷衛星の生命が存在可能な環境を考える上で重要な情報を含んでいるだろう。
LAPYUTAは次世代の紫外線宇宙望遠鏡計画である。この計画の科学検討を進めるため、宇宙望遠鏡で氷衛星、特にエウロパで発生する水蒸気のプルームの観測が行える可能性を検討した。過去のHSTの観測結果と上記のモデルを参考に、エウロパプルーム、大気、反射光の強度分布を見積もり、積分時間10時間でSN比が3を超えるには衛星周辺のジオコロナの存在がどの程度許容されるかを検証した。宇宙望遠鏡の空間分解能が0.1”程度である場合、平均のジオコロナのHI 121.6 nmの発光強度が6,000-8,000 Rayligh程度であれば、観測される二次元分布においてプルームの判別が可能であることがわかった。次に上記の条件が達成可能と見込まれる近地点高度500 km, 遠地点高度10,000 kmの衛星軌道を考えた。衛星軌道と視線方向、地球の影を考慮したジオコロナの発光強度モデルをいくつか作成したところ、衛星が地球を一周する周期220分の内、150分程度エウロパを観測できることがわかった。これは衛星が地球を4周する間エウロパを連続観測すれば、積分時間10時間を達成することができることを示している。