日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT40] 最先端ベイズ統計学が拓く地震ビッグデータ解析

2022年5月22日(日) 13:45 〜 15:15 301A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:長尾 大道(東京大学地震研究所)、コンビーナ:加藤 愛太郎(東京大学地震研究所)、矢野 恵佑(統計数理研究所)、コンビーナ:椎名 高裕(産業技術総合研究所)、座長:長尾 大道(東京大学地震研究所)、加藤 愛太郎(東京大学地震研究所)、矢野 恵佑(統計数理研究所)

14:15 〜 14:30

[STT40-02] MCMC法を用いた構造境界近傍における震源位置決定と2004年新潟県中越地震の余震への適用

*椎名 高裕1加納 将行2加藤 愛太郎3 (1.産業技術総合研究所、2.東北大学、3.東京大学地震研究所)

キーワード:MCMC法、地殻内地震、1次元速度構造、2004年新潟県中越地震

地震の震源位置の決定は地震学において基盤的な処理の一つである.内陸で発生する地震の活動域はしばしば地質学的な構造境界付近に分布する.構造境界付近では,物質構造を反映して地震波速度が水平方向に大きく変化することが予想される.このため,そのような地域で精度の良い震源決定を行うためには,局所的な不均質構造を考慮した解析が必要不可欠である.
Shiina and Kano [accepted, GJI]ではマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)を用いた断層近傍,具体的には鉛直に近い速度境界面が存在する領域,において震源位置と境界を挟んだ異なる2つの1次元速度構造を同時に推定する手法を提案した.本手法では,割り当てられる1次元速度構造をデータ駆動的に選択することで観測点をクラスタリングし,水平方向に速度構造が大きく変化する領域における震源位置や速度構造の特徴を精度良く推定することを可能とした.
本発表ではShiina and Kano [accepted]で提案した手法を,数値実験の結果をまじえて紹介する.また, 実観測データへの適用実験として,提案手法を2004年新潟県中越地震および2007年新潟県中越沖地震発生直後に取得された臨時地震観測データ[e.g., Kato et al., 2009]へ適用する.

謝辞:本研究では新潟県中越沖地震合同観測グループにより取得されたデータ使用させていただきました.また,JST CREST [JPMJCR1763]の支援を受けました.記して感謝申し上げます.