日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC31] 活動的⽕⼭

2022年6月2日(木) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (25) (Ch.25)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、コンビーナ:前野 深(東京大学地震研究所)、松島 健(九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター)

11:00 〜 13:00

[SVC31-P12] 精密水準測量とGNSSキャンペーン観測によって検出された箱根火山の地殻変動(2015-2021)

*村瀬 雅之1原田 昌武2松島 健3及川 純4森 済1、内田 和也3吉永 光樹3池田 宝佑3宮下 雄次2萬年 一剛2藤松 淳2、小田原 啓2安部 祐希2、二宮 良太2外山 浩太郎2 (1.日本大学文理学部地球科学科、2.神奈川県温泉地学研究所、3.九州大学大学院理学研究院、4.東京大学地震研究所)

キーワード:箱根火山、精密水準測量、GNSS

箱根火山では 2001 年以降、群発地震や地殻変動など、火山活動の活発化がたびたび認められてきたため、2015年、中央火口丘北部を横断する県道734~735 号に路線距離11km、水準点41点で構成される水準路線(二ノ平から桃源台に向かう本路線と、分岐して大涌谷へ向かう支線)を設置した。2015年6月に大涌谷で発生した小噴火後の2015年12月に第一回の測量を実施した後、 2016 年 9月、2017 年 12 月、2018年12月、2019年12月、2020年12月、2021年12月とほぼ1年間隔で繰り返し、6年間の上下変動を検出した。また、2017年から水準測量と同時期にGNSSキャンペーン観測を路線沿いの4か所で実施した。キャンペーン観測の4点と、温泉地学研究所の大涌谷観測点、GEONET箱根観測点を加えた6点で、GEONET厚木を基準としてRTKLIB(高須・他,2007)を用いて解析を行い、水平変動を得た。
2020年12月―2021 年12月の直近の1年間では、二ノ平にある GEONET 箱根観測点を参照点として、大涌谷は8mm の沈降、大涌谷三叉路付近(中央火口丘北部)は2㎜のわずかな隆起を示した。2015年 12月-2021 年 12 月の6年間では、大涌谷は65mm の沈降、大涌谷三叉路付近は12mmの隆起が検出された。
 参照点としたGEONET箱根観測点は、厚木観測点を基準として、2020 年 12 月―2021 年 12 月の間に10mm の隆起を示している。GEONET 箱根観測点の上下変動を水準測量の結果に加え補正した場合、2020 年 12 月―2021 年 12 月は、大涌谷三叉路付近で12㎜の隆起となる。GEONET 箱根観測点の上下変動を水準測量の結果に加え補正した2015年~2021年の時系列では、2016年9月ー2019年12月と2020年12月ー2021年12月に大涌谷三叉路付近で隆起の傾向を示した。箱根火山では2019年5月、2020年10月にやや活発な地震活動が観測されている。
大涌谷では、2016年12月から沈降の傾向が続いており、沈降量は6年間で62㎜に達する。一方で、2021年12月~2022年12月は、わずかな隆起の傾向を示した。
 2017年12月―2020年12月の3年間の水平変動は、GEONET厚木を基準として、大涌谷で東南東方向に46㎜であった。中央火口丘北部に位置する他の観測点も南東~南南東方向を示した。