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[SVC34-P03] 火山地域でのGNSS連続観測点を利用した地殻変動モニタリング
キーワード:GNSS、GEONET、GPS統合解析、REGMOS、地殻変動
国土地理院は,全国約1,300か所の電子基準点と中央局を基盤としたGNSS連続観測網(GEONET)を運用し,日本全国の地殻変動を監視している.電子基準点は,日本全国に約20km間隔で整備しており,全国にある各火山での比較的広域での地殻変動を検出することが可能である.国土地理院では,電子基準点網から得られる全国の地殻変動の情報をもとに約80の火山の地殻変動を確認し,火山噴火予知連絡会に定期的に資料を提出している.
電子基準点は,測量の基準となっていることから,安定してデータを取得・転送する必要があり,有線での電源と通信回線で主に構成されている.火山地域では有線での電源と通信回線を設置することが難しい状況が多く,国土地理院では1997年頃からソーラ発電による電源供給及び無線通信を使用した火山GNSSリモート観測装置(REGMOS)を開発し,火山活動が活発化した場合には機動的に設置してきた.2022年1月現在,伊豆大島,霧島山をはじめとした9火山に12基のREGMOSを設置し,地殻変動の監視に利用している.
活火山周辺では,国土地理院以外に、気象庁や大学等の研究機関でGNSS連続観測点を設置している.国土地理院では,関係する機関のデータを有効に活用し,火山活動に伴う地殻変動をより詳細に監視するため,気象庁や防災科学技術研究所等の他機関の観測データを活用したGPS統合解析を実施している.GNSSデータを交換している機関は,気象庁,防災科学技術研究所,神奈川県温泉地学研究所,京都大学防災研究所,九州電力株式会社などの8機関となる(2022年1月時点).
国土地理院が実施する火山地域でのGPS統合解析では,GEONET定常解析と同等の2周波解析に加えて,電子基準点から電離層遅延量をモデリングした1周波解析も可能である.つまり,1周波受信機の観測点があっても,電子基準点から推定した電離層遅延量を補正することにより,2周波受信機と同等の高精度な解析結果を得ることができる.全国の地殻変動を監視しているGEONETの解析ストラテジは,2021年4月より,ITRF2005に準拠した第4版からITRF2014に準拠した第5版に移行した.GPS統合解析についても,GEONET解析ストラテジ第5版と同基準で解析結果を算出するよう改修を行った。解析システムの改修版への移行にあたっては,改修版を用いて過去のデータを再解析し、それぞれの解析結果を比較検証し,変動の傾向と大きさに顕著な違いがないことを確認した.GEONET解析ストラテジ第5版への対応により,改修前と比べて高さ成分のばらつきが小さくなり、1cm程度の微少な変動の傾向を注視する火山活動に伴う地殻変動モニタリングでの効果が期待できる。2021年12月に開催された第149回火山噴火予知連絡会では,国土地理院提出の資料は全て改修版によるものとなっている.本発表では,GPS統合解析及びREGMOSの話題を中心に,GEONETによる火山活動の地殻変動監視の取組を紹介する.
電子基準点は,測量の基準となっていることから,安定してデータを取得・転送する必要があり,有線での電源と通信回線で主に構成されている.火山地域では有線での電源と通信回線を設置することが難しい状況が多く,国土地理院では1997年頃からソーラ発電による電源供給及び無線通信を使用した火山GNSSリモート観測装置(REGMOS)を開発し,火山活動が活発化した場合には機動的に設置してきた.2022年1月現在,伊豆大島,霧島山をはじめとした9火山に12基のREGMOSを設置し,地殻変動の監視に利用している.
活火山周辺では,国土地理院以外に、気象庁や大学等の研究機関でGNSS連続観測点を設置している.国土地理院では,関係する機関のデータを有効に活用し,火山活動に伴う地殻変動をより詳細に監視するため,気象庁や防災科学技術研究所等の他機関の観測データを活用したGPS統合解析を実施している.GNSSデータを交換している機関は,気象庁,防災科学技術研究所,神奈川県温泉地学研究所,京都大学防災研究所,九州電力株式会社などの8機関となる(2022年1月時点).
国土地理院が実施する火山地域でのGPS統合解析では,GEONET定常解析と同等の2周波解析に加えて,電子基準点から電離層遅延量をモデリングした1周波解析も可能である.つまり,1周波受信機の観測点があっても,電子基準点から推定した電離層遅延量を補正することにより,2周波受信機と同等の高精度な解析結果を得ることができる.全国の地殻変動を監視しているGEONETの解析ストラテジは,2021年4月より,ITRF2005に準拠した第4版からITRF2014に準拠した第5版に移行した.GPS統合解析についても,GEONET解析ストラテジ第5版と同基準で解析結果を算出するよう改修を行った。解析システムの改修版への移行にあたっては,改修版を用いて過去のデータを再解析し、それぞれの解析結果を比較検証し,変動の傾向と大きさに顕著な違いがないことを確認した.GEONET解析ストラテジ第5版への対応により,改修前と比べて高さ成分のばらつきが小さくなり、1cm程度の微少な変動の傾向を注視する火山活動に伴う地殻変動モニタリングでの効果が期待できる。2021年12月に開催された第149回火山噴火予知連絡会では,国土地理院提出の資料は全て改修版によるものとなっている.本発表では,GPS統合解析及びREGMOSの話題を中心に,GEONETによる火山活動の地殻変動監視の取組を紹介する.