日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-07] コロナ禍での在外研究・留学

2022年5月22日(日) 13:45 〜 15:15 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:北 佐枝子(建築研究所)、コンビーナ:奥脇 亮(筑波大学生命環境系山岳科学センター)、座長:北 佐枝子(建築研究所)、奥脇 亮(筑波大学生命環境系山岳科学センター)

14:05 〜 14:20

[U07-02] 学位取得にむけた在外研究の紹介:ベルギー王立宇宙航空研究所、ルーヴァンカトリック大学(ベルギー)の場合

★招待講演

*吉田 奈央1 (1.東北大学大学院 理学研究科 地球物理学専攻)

キーワード:学位取得海外留学、ベルギー、惑星科学、惑星大気

火星大気変動メカニズム理解や大気進化解明の目的で、火星周回衛星Trace Gas Orbiterに搭載されている分光器Nadir and Occultation for Mars Discoveryを用いた太陽掩蔽観測の解析を行っている。本機器の最新較正を解析に取り入れ、さらに共著者との議論を進めるため、2021年10月よりBIRA-IASB(ベルギー王立宇宙航空研究所)、ルーヴァンカトリック大学(ベルギー)に3ヶ月滞在した。本発表では訪問前の手続き、訪問中の研究や生活の状況、帰国後の隔離の様子などを紹介する。

本滞在は2020年10月より開始する予定であったが、コロナ禍のため延期していた。滞在が正式に決まったのは2021年の8月で、2回のワクチン接種を済ませ、所属大学からの留学許可を得た。入国時にはベルギーは社会活動に関する規制は解除されている状態であったが、日本の感染状況の悪化により隔離(3日間)が必要であった。滞在前半は、研究活動は対面を基本として開催されており、グループミーティングや詳しい研究の議論も対面で行うことが多かった。しかし、例年であればベルギー国外の研究者らと対面で議論する会合を対面で開くことは難しく、依然オンラインで開催せざるを得なかった。2021年11月には再度感染の広がりが発生したため、ベルギー政府より週4回のテレワーク義務を通達された。研究所では、各個人の研究の遂行状況により在宅日数を減らすことの打診も可能であったが、多くの教員・研究者・学生がテレワークを選択する状況であった。そのため、グループミーティングはオンライン形式になり、対面で議論をする場合は相談相手と登校日を調整する必要があった。結果として、滞在後半は前半に比べ対面での議論の機会は減ってしまった。しかし時差のない環境ではオンラインミーティングやチャット機能を使用した素早い相談が可能であり、それらの活用は研究遂行において有意義に作用していた。また、生活の観点では滞在先の学生らとの連絡を取り合うことで孤独感を感じずに過ごせていた。滞在全体としてオンラインを多く活用することになったが、学位研究の一部を海外で行うことは、研究内容の発展を実感し、今後につながる研究者ネットワークの形成にも役立ったと感じている。本事例は一例にすぎないが、今後も可能な限り在外研究を実施することが重要だと思われる。

訪問に関する情報は以下の通りである。
訪問先:BIRA-IASB(ベルギー王立宇宙航空研究所)、ルーヴァンカトリック大学
期間:2021年10月~12月
研究分野:惑星大気・超高層物理学
活動支援:東北大学環境・地球科学国際共同大学院プログラム(GP-EES)、学位取得にむけた滞在

また、研究内容はP-CG19「惑星大気圏・電磁圏セッション」にて発表予定である。