日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-07] コロナ禍での在外研究・留学

2022年5月22日(日) 13:45 〜 15:15 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:北 佐枝子(建築研究所)、コンビーナ:奥脇 亮(筑波大学生命環境系山岳科学センター)、座長:北 佐枝子(建築研究所)、奥脇 亮(筑波大学生命環境系山岳科学センター)

14:50 〜 15:05

[U07-05] コロナ禍での国際研究プロジェクトーメキシコにおける地震・津波災害軽減に向けた学際的研究の推進ー

★招待講演

*伊藤 喜宏1 (1.京都大学防災研究所)

キーワード:国際プロジェクト、地震・津波災害、減災

メキシコ太平洋沿岸部は巨大地震や津波による災害が頻発する自然災害リスクの高い地域の一つである。特にゲレロ州は1911年以来マグニチュード7以上の地震が発生していない地震の空白域(ゲレロ地震空白域)に隣接し、近い将来の巨大地震の発生に伴う地震・津波災害が危惧されている。京都大学とメキシコ国立自治大学を中心とする国際共同研究グループは5か年の国際共同研究プロジェクトを立ち上げ、2016年以降、ゲレロ州沿岸部における巨大地震・津波災害の軽減に向けた学際的研究に取り組んだ。このプロジェクトでは陸上・海底の地震・測地観測に基づき地震・津波シナリオを作成し、そのシナリオに即した地震・津波ハザードマップと津波避難ガイドラインの作成、またこれらの知見に則した沿岸地域の自治体で防災教育プログラムを実施した。本講演では、本プロジェクトの立ち上げの背景を紹介しつつ、2019年以降のコロナ禍にプロジェクトで生じた問題点とその解決方法について述べる。コロナ禍で物理的に進められない調査研究を除けば、コロナ禍で生じたいくつかの問題は本質的にはプロジェクト開始時に内在していたものであり、コロナ禍でその問題が顕在化したものであった。つまり、プロジェクト立ち上げ当初のプロジェクトデザインが堅固で、且つ実施中に生じる問題点の管理が適切であれば、仮にコロナのような人的•物的な交流の困難が生じても、プロジェクトへの目標到達への影響を最小化できる。