16:00 〜 16:15
[ACC26-08] グリーンランドSE-Dome II アイスコアの酸素同位体分析による高精度年代の作成
キーワード:アイスコア、酸素安定同位体比
アイスコアに保存されている、過去のエアロゾル濃度変動等を季節変動の時間分解能で解釈するためには、高精度の年代推定が不可欠である。本発表では、グリーンランド南東部において、2021年に掘削されたSE-Dome IIアイスコア(全長250.51 m)の年代を、δ18Oを用いて高精度に推定した結果を報告する。
水の酸素安定同位体比(δ18O)の分析は5cm分解能で、キャビティリングダウン式分光計 (L2130-i, Picarro社)を用いて行った。年代軸の作成は、年代ごとに (i)気象再解析データに基づく降水同位体モデルとのδ18O波形マッチング(1881年―2019年)、および (ii)自動年層カウントアルゴリズム(1881年以前)、の2つの手法を用いた。なお、1881―1978年については、20世紀再解析データに基づく降水同位体モデルを利用した。
先行研究(Furukawa et al., 2017)と同様に(i)のコアデータとモデルとの相関は高く(r= 0.73)、数か月の精度で年代推定ができた。モデルの気候復元の精度が悪化すると予想された20世紀再解析データの区間についても高い相関が得られた。自動年層カウント区間(1799―1881年)については統計モデルによる誤差推定は±1年であった。また、火山噴火、融解層、核実験等の示準層の年代とも整合的であった。
作成した年代軸の有用性を確かめるため、既に分析が終了しているH2O2濃度データの解析を試みた。その結果、H2O2濃度季節変動を数か月以内の年代誤差で復元できていることがわかった。このことから、作成した年代軸を用いれば、季節変動のレベルで過去140年間分の様々な大気環境データの解析をすることができると考えられる。
References:
Furukawa et al. (2017) Journal of Geophysical Research: Atmospheres, https://doi.org/10.1002/2017JD026716
水の酸素安定同位体比(δ18O)の分析は5cm分解能で、キャビティリングダウン式分光計 (L2130-i, Picarro社)を用いて行った。年代軸の作成は、年代ごとに (i)気象再解析データに基づく降水同位体モデルとのδ18O波形マッチング(1881年―2019年)、および (ii)自動年層カウントアルゴリズム(1881年以前)、の2つの手法を用いた。なお、1881―1978年については、20世紀再解析データに基づく降水同位体モデルを利用した。
先行研究(Furukawa et al., 2017)と同様に(i)のコアデータとモデルとの相関は高く(r= 0.73)、数か月の精度で年代推定ができた。モデルの気候復元の精度が悪化すると予想された20世紀再解析データの区間についても高い相関が得られた。自動年層カウント区間(1799―1881年)については統計モデルによる誤差推定は±1年であった。また、火山噴火、融解層、核実験等の示準層の年代とも整合的であった。
作成した年代軸の有用性を確かめるため、既に分析が終了しているH2O2濃度データの解析を試みた。その結果、H2O2濃度季節変動を数か月以内の年代誤差で復元できていることがわかった。このことから、作成した年代軸を用いれば、季節変動のレベルで過去140年間分の様々な大気環境データの解析をすることができると考えられる。
References:
Furukawa et al. (2017) Journal of Geophysical Research: Atmospheres, https://doi.org/10.1002/2017JD026716