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[HDS07-01] 防災リテラシー研究の現状と課題
キーワード:防災リテラシー、科学的知識、防災教育、レビュー
防災リテラシーは、科学的研究と社会的実践とを結ぶ概念ととして注目されているが、その学術的な研究は始まったばかりである。この言葉は、立花・相原(2005:33)によれば、1995年の阪神・淡路大震災後に当時の文部省によって取り上げられ、学校防災との関連において、「児童等が自然災害の発生メカニズム、地域の自然環境や過去の災害 、防災体制の仕組みなどをよく理解し、災害時における危機を認識して、日常的な備えを行うとともに、的確な判断の下に自らの安全を確保するための行動を迅速にとれる能力」と概念規定されたという。とりわけ近年、この言葉を冠した論文が国内外の学術雑誌において急速に数を増やしつつあるが、その指し示す内容は論者によって様々であり、必ずしも統一的な概念化・理論化が図られているわけではない。本報告では、それらの学術論文をレビューして、防災リテラシー研究の現状を探り、その課題を議論する。結論的に言えば、多くの研究は、どちらかというと近視眼的な防災スキルやツールの開発に焦点を置く傾向にあり、当初企図されていたほどには科学的研究と社会的実践のギャップは埋められていないように思われる。