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[HSC04-P06] 高温下における玄武岩-水反応が浸透率に及ぼす影響の評価
キーワード:CO2地熱発電、玄武岩、浸透率、鉱物-水反応
著者らは、高温貯留層に対してCO2を圧入・循環させて発電を行うCO2-EGSプロジェクトの一環として、地化学反応に伴う水理特性変化の検証の観点から研究を進めている。貯留層をCO2が循環すると、圧入井近傍ではCO2溶解に伴う酸性水が鉱物の溶解を促進し、圧入井から離れた場所では炭酸塩鉱物等の沈殿が起こる。これらの地化学反応によって貯留層の間隙率や間隙径が変化すると、浸透率や毛管圧といった水理特性も変化することが予想される。本研究ではCO2圧入前の貯留層の水理特性の予備検討として、熱水流動下の地化学反応によって浸透率がどのような影響を受けるのかを評価した。
本CO2-EGSプロジェクトでは貯留層の一つとして玄武岩が想定されることから、北海道利尻島の玄武岩をモデル試料として選定した。試料は主に斜長石、ガラス、輝石から構成され、間隙率は7.5 %である。温度250℃、間隙水圧10 MPa、封圧14-15 MPaの条件下で試料に一定差圧を付加することで純水を流通させた。流通試験には、長さ200 mmの長尺試料に対して、種々の流体(熱水や超臨界CO2、及び両者の混合流体)を最大300 ℃で流通できる高温超臨界CO2流通試験装置を用いた。装置は主に、サンプルホルダー、水・CO2圧入システム、水・CO2の加熱混合機、封圧付加機構、圧力計、ヒーター、冷却器から構成される。流通試験からは当該試料が4 × 10−20 m2と低い浸透率を有することが判明したが、約23日間の実験中、浸透率にはほとんど変化が見られず、CO2を含まない熱水のみの流通下では地化学反応が浸透率に及ぼす影響は小さいことが示唆された。この結果は、熱水中の溶存イオン濃度が玄武岩構成鉱物に対して飽和状態となり、溶解・沈殿反応がみかけ起こらなくなったことを反映している可能性が考えられる。今後は、本研究で得られた結果を高温CO2溶解水を流通させた場合と比較し、地化学反応が浸透率に及ぼす影響はCO2の有無によってどのように違うかを検証していく予定である。
本CO2-EGSプロジェクトでは貯留層の一つとして玄武岩が想定されることから、北海道利尻島の玄武岩をモデル試料として選定した。試料は主に斜長石、ガラス、輝石から構成され、間隙率は7.5 %である。温度250℃、間隙水圧10 MPa、封圧14-15 MPaの条件下で試料に一定差圧を付加することで純水を流通させた。流通試験には、長さ200 mmの長尺試料に対して、種々の流体(熱水や超臨界CO2、及び両者の混合流体)を最大300 ℃で流通できる高温超臨界CO2流通試験装置を用いた。装置は主に、サンプルホルダー、水・CO2圧入システム、水・CO2の加熱混合機、封圧付加機構、圧力計、ヒーター、冷却器から構成される。流通試験からは当該試料が4 × 10−20 m2と低い浸透率を有することが判明したが、約23日間の実験中、浸透率にはほとんど変化が見られず、CO2を含まない熱水のみの流通下では地化学反応が浸透率に及ぼす影響は小さいことが示唆された。この結果は、熱水中の溶存イオン濃度が玄武岩構成鉱物に対して飽和状態となり、溶解・沈殿反応がみかけ起こらなくなったことを反映している可能性が考えられる。今後は、本研究で得られた結果を高温CO2溶解水を流通させた場合と比較し、地化学反応が浸透率に及ぼす影響はCO2の有無によってどのように違うかを検証していく予定である。