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[MIS10-04] 白馬連山における周氷河砂礫斜面のマスムーブメント
キーワード:周氷河砂礫斜面、凍結融解作用、RTK-UAV、白馬連山
飛驒山脈北部の白馬連山は非対称山稜で,主稜線の西側が周氷河砂礫斜面の緩傾斜面,東側が圏谷や急崖の急傾斜面である.周氷河砂礫斜面では,凍結融解作用や水流などにより,礫の移動など緩慢に下方へ物質が移動するマスムーブメントが生じている(岩田,1980).日本の高山の周氷河帯のマスムーブメントの観測は,主にペンキラインやタイムラプスカメラを用いておこなわれてきた.白馬連山北部の鉢ヶ岳では,1970年~1980年に年間のペンキラインの変形から礫の移動距離が計測された(高山地形研究グループ, 1978;相馬ほか,1979;岩田,1980). 斜面で生じるマスムーブメントは,ペンキラインやタイムラプスカメラなどの局所的な観測のみであり,空間的な礫の移動個所と移動量を把握できていない.また積雪が礫の移動に及ぼす影響についても十分に検討されていない.そこで本研究では,飛驒山脈北部の白馬連山の3つの周氷河砂礫斜面において,2020年~2022年に実施したRTK-UAV空撮画像とSfM-MVS処理で生成された点群データを用いてマスムーブメントの空間分布を調べた.研究対象は,白馬岳,杓子岳,三国境付近の3つの周氷河砂礫斜面である.杓子岳と三国境は大部分が新第三紀の前期中新世に貫入した珪長岩,白馬岳は 古生代の砂岩・頁岩域と珪長質凝灰岩域からなる.対象とした3つ斜面に対して,UAV空撮画像を用いて,地表物質を土壌,細礫地,大礫地,植生,基盤の5つに分類した.次にUAV空撮画像のオルソ補正画像を比較して,3つの周氷河性砂礫斜面で地表物質の移動を確認した.地表物質別に礫の移動割合を比較したところ,土壌,細礫地で表面移動が顕著であった.