日本地球惑星科学連合2023年大会

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現地ポスター発表

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[O-06] 高校生ポスター発表

2023年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 現地ポスター会場 (幕張メッセ展示ホール8)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/21 13:45-15:15)

13:45 〜 15:15

[O06-P12] 黒曜石の黒色を構成する要素の考察

*北村 まる1 (1. 長野県諏訪清陵高等学校)

キーワード:黒曜石


黒曜石の色について、「黒曜石の黒色はFeによるものである」という説があるが、蛍光X線分析で乳白色の黒曜石と黒色の黒曜石のFeの含有量を比較した際には著しい差は見られない。そこで顕微鏡下で分かる構造に注目して、黒曜石の色を構成する要素についての考察を行った。
本研究では異なる産地、異なる色の黒曜石を用いてそれぞれ薄片を作成し、偏光顕微鏡で観察を行った。黒色の北海道白滝産、同じく黒色の長野県和田峠産、乳白色の大分県姫島産のサンプルを用いた。黒曜石内部の晶子・微晶、または気泡の存在が認められ、またそれらの占有面積をモード測定によって求めた。また、厚さを統一したスラブを作成し、暗所にてライトを固定させて、スラブを通した時と何も通さずに測定した照度を照度計を使って比較して黒曜石の光の透過率を求めた。
各産地ごとの黒曜石の薄片に見られる特徴的な晶子形態が白滝産と和田峠産のサンプルに見られた。白滝産には「黒色の斑点上の晶子」が見られ、和田峠産には「黒色針状晶子」「球形状珪長質物質」が確認できた。またモード測定時に利用したグリッドを再利用して、それらの占有面積を図で示した。姫島産にはプロピライト変質が見られ、また気泡内に成長した構造が確認できた。計測の結果、薄片内の気泡の面積が大きくなるほど光の透過率は低くなっていることが分かった。
モード測定の結果、姫島と和田峠はおおよそ同じ様相を呈したが、白滝産は斜長石の値が高かった。
薄片内の気泡の占有率と黒曜石内部の黒い晶子が、黒曜石の色味に関係しているのではないかと考え、それらを計測した。結果から、気泡の占有率は黒曜石の光の透過率に影響を与えていると考えられる。また黒色の黒曜石内には黒色の晶子が含まれ、乳白色の黒曜石にはそれが見られないことから、黒曜石内部の黒い晶子が色味に影響していると考えられる。また、内部の晶子が産地ごとの若干の色の違いに影響していると考えられる。