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[PEM17-P03] 彗星高密度プラズマの表面じょう乱に関する粒子シミュレーション
キーワード:彗星高密度プラズマ、密度じょう乱、粒子シミュレーション、両極性電場
彗星の中でも公転周期が200年を超えるものは長周期彗星と呼ばれる。これらは、太陽系の始原的な特徴を残しているとされ、太陽系形成過程の解明に資する天体として大きく注目されている。現在、待ち受け方式を採用した長周期彗星探査ミッションであるComet Interceptor計画の検討が、欧州宇宙機関(ESA)の主導により進められている。彗星は、氷でできた核と、その一部が太陽エネルギーによって昇華したコマから成る。コマを構成する氷の一部は電離し、高密度のプラズマ雲を形成している。彗星高密度プラズマは急激な密度勾配や、太陽風との相互作用、またダストとの混合状態により、非常にユニークな性質を持つと考えられ、そこで生起する物理素過程を探査に先駆けて詳細に調べることは意義が大きい。
本研究では、彗星高密度プラズマの表層領域で生起する密度じょう乱に注目し、静電モデルのPICプラズマ粒子シミュレーションを実施した。磁場を一様に配置した計算空間内の一部分にのみ高密度プラズマを初期配置し、残りの部分をプラズマの存在しない領域と設定した。この初期配置から計算を開始し、プラズマ密度構造の変化と、静電場の発達の過程を再現した。シミュレーションでは次の2つの特徴が確認された。まず計算の開始とともに、電子とイオンは高密度領域から低密度側へと拡がろうとするが、電子はイオンに比べて強く磁化されているため、イオンがより外側に浸出する。この結果として径方向内側に向いた両極性電場の形成を確認した。続いて初期の高密度プラズマの境界に沿う方向に、電子とイオンの密度じょう乱が発達し、渦状の密度および電位構造が形成されることを確認した。上記の初期結果を受け、電子とイオンの質量比、磁場強度、プラズマ初期構造を円形から長方形に変更した複数回のシミュレーションを実行し、密度じょう乱の特徴および依存性を調査した。その結果、当該じょう乱現象は低域混成ドリフト不安定性の特徴を有していることを確認した。
本研究では、彗星高密度プラズマの表層領域で生起する密度じょう乱に注目し、静電モデルのPICプラズマ粒子シミュレーションを実施した。磁場を一様に配置した計算空間内の一部分にのみ高密度プラズマを初期配置し、残りの部分をプラズマの存在しない領域と設定した。この初期配置から計算を開始し、プラズマ密度構造の変化と、静電場の発達の過程を再現した。シミュレーションでは次の2つの特徴が確認された。まず計算の開始とともに、電子とイオンは高密度領域から低密度側へと拡がろうとするが、電子はイオンに比べて強く磁化されているため、イオンがより外側に浸出する。この結果として径方向内側に向いた両極性電場の形成を確認した。続いて初期の高密度プラズマの境界に沿う方向に、電子とイオンの密度じょう乱が発達し、渦状の密度および電位構造が形成されることを確認した。上記の初期結果を受け、電子とイオンの質量比、磁場強度、プラズマ初期構造を円形から長方形に変更した複数回のシミュレーションを実行し、密度じょう乱の特徴および依存性を調査した。その結果、当該じょう乱現象は低域混成ドリフト不安定性の特徴を有していることを確認した。