日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC31] 活動的火山

2023年5月22日(月) 13:45 〜 15:15 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、松島 健(九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター)、座長:宗包 浩志(国土地理院)、西山 竜一(東京大学地震研究所)

14:30 〜 14:45

[SVC31-14] 2022年9月19日に観測された霧島硫黄山南火口群における特異的な表面活動

*長妻 努1村田 健史1菊田 和孝1村上 雄樹1松島 健2村松 弾3田辺 暖柊4西村 太志5 (1.国立研究開発法人 情報通信研究機構、2.九州大学大学院理学研究院付属地震火山観測研究センター、3.東京大学地震研究所、4.九州大学、5.東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

キーワード:映像IoT、霧島硫黄山、特異な表面活動

我々は、2018年以降活発な熱水・噴気活動が続いている霧島硫黄山の南火口群の活動状況のモニタリング及び装置の実証実験のために、情報通信研究機構(NICT)が開発した自立型の映像IoT及びインフラサウンドの観測システムを南火口群付近に設置し、2022年9月より試験観測を実施している。本観測装置はPTZカメラとインフラサウンドセンサーで構成されており、太陽電池とバッテリー、メタノール燃料電池の3つの電源による長期間メンテナンスフリーの運用、モバイル通信で映像のリアルタイム伝送によって、ポータブルに火口内現象等の映像連続モニタリングを実現できる。今回は本観測装置で2022年9月19日にY2aにおいて特異的な表面活動が観測されたので報告する。
 霧島硫黄山南火口群付近では、Y2a,Y2b,Y3の主に3つの噴出孔が活動しており、最も活発なY2aでは湯だまり期において熱水を噴き上げる噴湯活動、渇水期には活発な噴気活動が見られる長期的な変化が観測されている。ところが、2022年9月19日においては特異的な短期変動が観測された。高精細映像データによると、9月18日の夕方まではY2aには湯だまりがあり、噴湯現象が観測されていたが、9月19日朝6時の時点でY2aは完全にドライアップしており、かつ噴気活動が見られなかった。6時19分頃から噴気活動が再開し、その3分後には湯だまりの形成が開始され噴湯現象が観測されている。7時15分過ぎには再び湯だまりが消失を開始して約2分後には完全消失し、約3.5時間後には噴気活動が再開、湯だまりの形成、噴湯現象の再開となった。この湯だまり期と渇水期の短時間変化は12時台にも観測されている。このような短時間変化がY2aにおいて観測されたのは現在のところ2022年9月19日のみである。この特異的な変化が観測された前日(2022年9月18日)に非常に強い台風14号が九州南部に接近し、えびののアメダスにおいて622mmの記録的な降水量が観測されていることから、降雨に伴う水分量の急増が今回の特異的な変動の要因の一つであることが考えられる。