14:30 〜 14:45
[AAS08-04] 梅雨前線帯で観測された突風の発生メカニズム

キーワード:突風、竜巻、ダウンバースト、梅雨前線、数値モデル
竜巻・ダウンバースト・ガストフロントといった突風はしばしば線状の降水システムで発生する。このような線状の降水システムにおける突風の発生メカニズムは数多くの観測や数値モデルを用いた研究により調べられている。一方、日本の梅雨期における突風は統計上その発生数が少ないことから、梅雨前線帯における竜巻やダウンバースト等の突風の発生メカニズムについては明らかになっていない。本研究では、梅雨前線帯で発生した竜巻・ダウンバースト事例の発生メカニズムを明らかにすることを目的に、雲解像モデルCReSSを用いてそれぞれの突風の再現とその発達過程の解析を行った。
対象とする事例は2020年7月8日に梅雨前線降水帯に伴って発生した複数の突風である。気象庁Cバンドレーダーでの観測結果より、06:30 JST頃に三重県桑名市で発生した突風が竜巻、同日07:00 JST頃に岐阜県加茂郡八百津町で発生した突風がダウンバーストと、異なる種別の突風が発生していたことからこの2つの突風に着目し再現実験を行った。
突風の再現のため、雲解像モデルCReSSにおける再現実験は500 m解像度実験と、その結果を用いた2つの領域での50 m解像度ネスティング実験を行った。外側の500 m解像度実験では梅雨前線に沿って形成した梅雨前線降水帯が再現され、降水帯北部での強い降水域において循環場が示された。竜巻の再現を行った1つ目の50 m解像度実験では、降水帯北部の循環場中心において竜巻が再現された。地表面付近において収束・上昇流域が分布しており、地表から高度1000 m付近までで鉛直渦度と低気圧構造が顕著であったことから、この竜巻はノンスーパーセル型竜巻であったと考察される。また、渦度収支解析の結果、竜巻の渦度発達には上昇流による鉛直渦度stretchingの寄与が最も大きかったことが示された。また、ダウンバーストの再現を行った2つ目の50 m解像度実験では、降水帯北側の強い降水強度域の縁辺でダウンバーストに対応する10 m/s 超の強い下降流が再現された。ダウンバースト発生時刻前後の鉛直構造より、前線後面からの乾燥空気の流入とともに下降流の強化が起こっていた。また、雨滴蒸発過程を除いた感度実験において同領域における下降流強化は見られなかった。このことから、乾燥空気の流入による雨滴の蒸発冷却がダウンバーストの要因であったことが示された。
対象とする事例は2020年7月8日に梅雨前線降水帯に伴って発生した複数の突風である。気象庁Cバンドレーダーでの観測結果より、06:30 JST頃に三重県桑名市で発生した突風が竜巻、同日07:00 JST頃に岐阜県加茂郡八百津町で発生した突風がダウンバーストと、異なる種別の突風が発生していたことからこの2つの突風に着目し再現実験を行った。
突風の再現のため、雲解像モデルCReSSにおける再現実験は500 m解像度実験と、その結果を用いた2つの領域での50 m解像度ネスティング実験を行った。外側の500 m解像度実験では梅雨前線に沿って形成した梅雨前線降水帯が再現され、降水帯北部での強い降水域において循環場が示された。竜巻の再現を行った1つ目の50 m解像度実験では、降水帯北部の循環場中心において竜巻が再現された。地表面付近において収束・上昇流域が分布しており、地表から高度1000 m付近までで鉛直渦度と低気圧構造が顕著であったことから、この竜巻はノンスーパーセル型竜巻であったと考察される。また、渦度収支解析の結果、竜巻の渦度発達には上昇流による鉛直渦度stretchingの寄与が最も大きかったことが示された。また、ダウンバーストの再現を行った2つ目の50 m解像度実験では、降水帯北側の強い降水強度域の縁辺でダウンバーストに対応する10 m/s 超の強い下降流が再現された。ダウンバースト発生時刻前後の鉛直構造より、前線後面からの乾燥空気の流入とともに下降流の強化が起こっていた。また、雨滴蒸発過程を除いた感度実験において同領域における下降流強化は見られなかった。このことから、乾燥空気の流入による雨滴の蒸発冷却がダウンバーストの要因であったことが示された。