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[ACG42-P05] 大西洋子午面循環に対する北極域河川流出の影響

キーワード:大西洋子午面循環、深層対流、河川流出、海洋大循環モデル
大西洋子午面循環(AMOC)は熱輸送の観点から気候に与える影響が大きく、その始点は北大西洋高緯度での深層水形成である。深層水形成は海面冷却に伴う表層水の高密度化が引き起こす深層対流によって駆動されており、深層水形成域と比べて低塩分な北極海起源の海水の流入は深層水形成を弱める。北極海における最大の淡水供給源である河川水は温暖化に伴い流量の増加が予測されており、北極海に注ぐ河川がAMOCに与える影響の評価の重要性は高い。しかし、河川がAMOCに与える影響の程度やその具体的なメカニズムに関してはまだ解明されていない。
本研究では海氷海洋大循環モデルCOCOを使用し、北極域の河川から同じだけ流量を減少させる実験を行い、北極域の河川がAMOCに与える影響を定量的に評価した。その結果、AMOCへの影響は北極海の北米側の河川よりもロシア側の河川の影響が強いことが示された。この原因は、AMOCにおける最大の深層水形成域であるラブラドル海への淡水輸送に対して、ロシア側の河川の寄与が北米側の河川に比べて大きいためであると明らかになった。
また、北極海における河川流出の変化に対する深層対流やAMOCの応答の時間スケールは80年程度で、ラブラドル海の密度フラックス収束が持つ時間スケールによって説明できることが示された。この密度フラックスの収束の時間スケールは、河川を取り除いたことによる北極海からの塩分輸送の変化、ラブラドル海の南東部における塩分・水温・循環の変化、および海面での熱・淡水フラックスの変化の重ね合わせで説明できることが示された。
本研究では海氷海洋大循環モデルCOCOを使用し、北極域の河川から同じだけ流量を減少させる実験を行い、北極域の河川がAMOCに与える影響を定量的に評価した。その結果、AMOCへの影響は北極海の北米側の河川よりもロシア側の河川の影響が強いことが示された。この原因は、AMOCにおける最大の深層水形成域であるラブラドル海への淡水輸送に対して、ロシア側の河川の寄与が北米側の河川に比べて大きいためであると明らかになった。
また、北極海における河川流出の変化に対する深層対流やAMOCの応答の時間スケールは80年程度で、ラブラドル海の密度フラックス収束が持つ時間スケールによって説明できることが示された。この密度フラックスの収束の時間スケールは、河川を取り除いたことによる北極海からの塩分輸送の変化、ラブラドル海の南東部における塩分・水温・循環の変化、および海面での熱・淡水フラックスの変化の重ね合わせで説明できることが示された。