日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG45] 有人・無人航空機による気候・地球システム科学研究の推進

2024年5月28日(火) 13:45 〜 15:00 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、小池 真(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、町田 敏暢(国立環境研究所)、篠田 太郎(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、座長:小池 真(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)

13:45 〜 14:00

[ACG45-01] ドローンを用いた斜面冷気流の観測

*眞砂 海斗1坂崎 貴俊1 (1.京都大学 大学院理学研究科)

キーワード:ドローン、UAV、斜面冷気流

穏やかでよく晴れた日の夜、地表面の放射冷却によって傾斜地では斜面上に冷気が形成される。この冷気塊が重力によって斜面を流れ下る現象を斜面冷気流という。冷気流の鉛直構造に関する観測はこれまでにも行われているが、気温や風速のプロファイルを高分解能で得るのは難しかった。そこで本研究では、ドローン観測と地上観測を用いて冷気流の動態を明らかにすることを目的とする。

観測は京都大学上賀茂試験地(京都市北区上賀茂本山2)で行った。この場所は三方を斜面に囲まれた、高低差70 m程度の谷の地形になっており、冷気流の観測に適していると考えられる。

観測には、2台のドローン(Phantom 4)にそれぞれ超音波風速計(Trisonica mini)と気象センサー(iMet-XQ2)を載せたものを使用する。これにより、風向、風速、音仮温度、混合比の鉛直プロファイルを得る。また、地上観測では風向、風速、音仮温度、正味放射量、などを測った。

よく晴れた日の昼過ぎから日没にかけて観測を行い、約30分おきにドローンを飛行させることで鉛直プロファイルを得た。これを2022年から2023年に複数回行った。さらに、昼過ぎから翌日の朝方まで1時間ごとにドローンを飛ばし、夜間観測も行った。

これらの観測によって、冷気流を高解像度で捉えることに成功した。温度プロファイルでは逆転層が確認され、逆転層内では中間付近で風速最大、上端で風速極小となるような風の鉛直構造も確認できた。このような鉛直構造はほとんどの観測結果で確認できており、発表では観測精度や地上観測の結果も併せて紹介する。