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[AOS15-02] 北大西洋亜熱帯モード水厚変動の海洋表層新生産への影響
キーワード:亜熱帯モード水、北大西洋、栄養塩躍層、新生産
亜熱帯モード水(STMW:Subtropical Mode Water)は各大洋の西岸境界流の低緯度側に存在する鉛直一様な水塊である。北太平洋のSTMWの厚さは10年規模で変動し、STMWが厚いとき、STMW以浅の等温面を持ち上げることで海洋表層の水温を低下させる(Kobashi et al., 2021, 2023)。さらに、海洋表層の貯熱量を低下させることで、日本の南の海域を通過する台風強度を弱める(Oka et al., 2023)。このSTMWの厚さ変動は同時に栄養塩躍層の深度を変動させ、有光層における新生産へも影響することが期待される。
北大西洋のSTMWは水温がおおよそ18℃であることからEighteen Degree Water(EDW)と呼ばれる。本研究では、2012~2023年のアルゴフロートデータおよび1989~2022年のBermuda Atlantic Time-series Study 船舶観測データを解析し、EDW厚変動に伴う海洋表層構造の変動を調べた。北太平洋と同様に、200~500m深付近に存在するEDWが厚いときにEDW以浅の等温面が持ち上げられることで、暖候期の50~100m深を中心に海洋亜表層の水温が低下していた。さらに、EDW以浅の100~150mに存在する栄養塩躍層も持ち上げられるため、栄養塩躍層付近を中心に海洋亜表層の栄養塩濃度が増加していた。栄養塩の増加に伴い、クロロフィル濃度はクロロフィル最大深度の約100m以浅(以深)では増加(減少)しており、基礎生産にも同様の傾向が確認できた。
北大西洋のSTMWは水温がおおよそ18℃であることからEighteen Degree Water(EDW)と呼ばれる。本研究では、2012~2023年のアルゴフロートデータおよび1989~2022年のBermuda Atlantic Time-series Study 船舶観測データを解析し、EDW厚変動に伴う海洋表層構造の変動を調べた。北太平洋と同様に、200~500m深付近に存在するEDWが厚いときにEDW以浅の等温面が持ち上げられることで、暖候期の50~100m深を中心に海洋亜表層の水温が低下していた。さらに、EDW以浅の100~150mに存在する栄養塩躍層も持ち上げられるため、栄養塩躍層付近を中心に海洋亜表層の栄養塩濃度が増加していた。栄養塩の増加に伴い、クロロフィル濃度はクロロフィル最大深度の約100m以浅(以深)では増加(減少)しており、基礎生産にも同様の傾向が確認できた。