17:15 〜 18:45
[AOS16-P02] ブルーカーボン生態系モデルに基づく海洋酸性化による生物変化モデルの検討
キーワード:海洋酸性化、生態系モデル、炭素循環、ブルーカーボン
海洋酸性化は、甲殻類や動物プランクトン、藻類など様々な海洋生物の成長を抑制し、数の減少を引き起こす。人間社会の豊かさに関わる海洋資源を保全するため、海洋酸性化によって影響を受ける海洋生物の変化を予測することは重要である。
現在、海洋酸性化は人間活動由来の二酸化炭素排出により地球規模で進んでおり、2100年には世界平均pHが現在から最大0.3程度下がると予測されている(Gustafsson et al., 2023)。そのような中、特定の閉鎖湾や河川周辺地域などでは自然要因で既に急激な酸性化が起きている地域もあり、pHの低下によって生物へ影響が出ることが懸念されている(Golbuu et al., 2016; Salisbury et al., 2011)。海洋酸性化による生物変化は、多くの室内実験において観測されてきた(Riebesell et al., 2010)。しかし、実環境における生物変化の観測実験は未だ数少ない。実環境での観測が室内実験に比べて進まない理由は、水温上昇や汚染物質などによる複合的な影響が出たり、様々な生物の捕食被食関係があったりと環境が複雑であるためである(Ferrari et al., 2011; Doropoulos et al., 2012)。
本研究の目的は、そのような海洋酸性化による海洋生物への複雑な影響をモデル化し、生物量変化を予測することである。そのためにまずは、現在の生態系モデルに海洋酸性化影響を加える必要がある。そして、将来的に海洋酸性化の適応策や緩和策を施すために、私たちはそのモデルを湾規模の酸性化地域に適用する必要がある。今回私たちは、pHが下がると大型藻類が減少し、芝藻類が増殖するというHarvey et al., 2021の結果に基づき、大型藻類の酸性化影響に着目した。大町・相馬, 2022を参照し、大型藻類のバイオマスがpHに依存し増減することに関して仮説を立て、モデルの検討をしていく。
本研究では、二酸化炭素由来の海洋酸性化による生物変化を定量化するという課題に対してブルーカーボン生態系モデル(相場ほか, 2020)を適用し、それぞれの海洋生物に対する海洋酸性化影響のフラックスを加えることとした。最初のステップとして、私たちは海洋酸性化がブルーカーボン生態系モデルのどの部分に反映するかについての仮説を検討している。本発表では、大型藻類を取り巻く仮説にまつわるモデルの構成と式、シミュレーション結果、そして今後の展望について説明する。
本研究により、将来的には海洋酸性化による生物量変化の予測が可能になる。さらに本研究で作成したモデルを用いることで、ブルーカーボン事業など海洋酸性化対策の定量的な効果検証が行えるようになると考える。
現在、海洋酸性化は人間活動由来の二酸化炭素排出により地球規模で進んでおり、2100年には世界平均pHが現在から最大0.3程度下がると予測されている(Gustafsson et al., 2023)。そのような中、特定の閉鎖湾や河川周辺地域などでは自然要因で既に急激な酸性化が起きている地域もあり、pHの低下によって生物へ影響が出ることが懸念されている(Golbuu et al., 2016; Salisbury et al., 2011)。海洋酸性化による生物変化は、多くの室内実験において観測されてきた(Riebesell et al., 2010)。しかし、実環境における生物変化の観測実験は未だ数少ない。実環境での観測が室内実験に比べて進まない理由は、水温上昇や汚染物質などによる複合的な影響が出たり、様々な生物の捕食被食関係があったりと環境が複雑であるためである(Ferrari et al., 2011; Doropoulos et al., 2012)。
本研究の目的は、そのような海洋酸性化による海洋生物への複雑な影響をモデル化し、生物量変化を予測することである。そのためにまずは、現在の生態系モデルに海洋酸性化影響を加える必要がある。そして、将来的に海洋酸性化の適応策や緩和策を施すために、私たちはそのモデルを湾規模の酸性化地域に適用する必要がある。今回私たちは、pHが下がると大型藻類が減少し、芝藻類が増殖するというHarvey et al., 2021の結果に基づき、大型藻類の酸性化影響に着目した。大町・相馬, 2022を参照し、大型藻類のバイオマスがpHに依存し増減することに関して仮説を立て、モデルの検討をしていく。
本研究では、二酸化炭素由来の海洋酸性化による生物変化を定量化するという課題に対してブルーカーボン生態系モデル(相場ほか, 2020)を適用し、それぞれの海洋生物に対する海洋酸性化影響のフラックスを加えることとした。最初のステップとして、私たちは海洋酸性化がブルーカーボン生態系モデルのどの部分に反映するかについての仮説を検討している。本発表では、大型藻類を取り巻く仮説にまつわるモデルの構成と式、シミュレーション結果、そして今後の展望について説明する。
本研究により、将来的には海洋酸性化による生物量変化の予測が可能になる。さらに本研究で作成したモデルを用いることで、ブルーカーボン事業など海洋酸性化対策の定量的な効果検証が行えるようになると考える。