日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT02] バイオミネラリゼーションと古環境プロキシー

2024年5月30日(木) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、Heinz Petra廣瀬 孝太郎(兵庫県立大学 自然・環境科学研究所)、de Nooijer Jan de Nooijer(Royal Netherlands Institute for Sea Research)



17:15 〜 18:45

[BPT02-P01] Dolomite沈殿における好塩菌の役割:菌活性と細胞外高分子物質の影響評価

長谷川 舞帆1、*小西 博巳1 (1.新潟大学)

キーワード:ドロマイト、好塩菌、細胞外高分子物質、EPS、多糖類

Dolomite[CaMg(CO3)2]は炭酸塩鉱物であり、主に白亜紀、三畳紀、先カンブリア時代の古代に多産する。しかし、現代の環境ではDolomiteの産出は限られており、主に高塩湖やメタン冷水噴出孔などでわずかに生成する。通常の温度と圧力下でのDolomiteの合成は困難であり、室温で形成されたdolomiteはCaとMgの配列がランダムである。また、現代の海水はdolomiteに対して過飽和であるのも関わらず、dolomiteの沈殿は海水中で起こらない。これらのパラドックスはDolomite Problemと呼ばれ、100年来の謎である。
 Dolomiteの通常の温度と圧力下での沈殿が困難である理由は、Mgに強い水和殻が存在するためであると考えられる。この水和殻によってCO3が結合することが抑制される(Warren 2000)。しかし、多糖類があれば、カルボキシル基が水と結合しようとする。この競合により、水和殻の結合が弱まり、dolomiteの生成が可能となる(Zhang et al., 2020)。硫酸還元細菌などの特定のバクテリアは、disordered dolomiteの形成を促進することが知られている。しかし、この効果がバクテリアが多糖類を含む細胞外高分子物質(EPS)を生成することに起因するのか、バクテリアそのものの活動によってdolomiteの沈殿が誘発されるのかは明確ではない。提案されている仮説の一つは、EPSが沈殿に強く影響を与えるため、微生物の生物活動は必要ないというものである(Bontognali et al., 2013)。一方、他の研究では、微生物の生物活動がMgに富むcalciteの沈殿にとって重要であると結論付けていまる(Rivadeneyra et al., 2004)。
 本研究では、dolomite沈殿能力を持つ好嫌気性の好塩菌Halomonas meridianaによって作られたバイオフィルムがdolomiteの沈殿を容易にするかどうか実験した。我々の実験の特筆すべき点は、オートクレーブを使用せずに比較的低い温度の50℃でバクテリアを死滅させたことである。バイオフィルムの組成が高温によって損なわれる可能性があるため、滅菌の際に一定の熱的変化を避けることで、実験結果に潜在的な悪影響を除いた。さらに、我々は高塩湖に見られるバイオフィルムを再現するため、固体培地を使用した。
 我々の実験では、dolomiteを沈殿させる能力を持つ好酸性嫌気バクテリウムHalomonas meridianaを海水に類似した固体培地に接種すると、disordered dolomiteが形成された。しかし、50℃で滅菌された死んだバクテリアとEPSで構成されたバイオフィルムを接種した場合には、dolomiteは生成されなかった。これらの結果から、dolomiteの沈殿にはバクテリアそのものの活動が関与していることが示唆される。