17:15 〜 18:45
[G03-P04] 災害を広く伝え残すためのデジタル展示

キーワード:関東大震災、デジタルコンテンツ、科学博物館展示、災害の伝承
国立科学博物館(東京・上野公園,以下科博)では,2023年9月1日から11月26日までの約3か月間,関東大震災100年企画展「震災からのあゆみ -未来へつなげる科学技術―」を開催した.私たちがどう自然を理解して災害から生活を守るために科学技術を発展させ,どう身近な生活に活かしてきたかを感じてもらおうと,大正関東地震とその被害,関東大震災からの復興,この100年の間の地震防災・減災の研究,今私たちが備えること,過去から未来への災害の継承,について紹介した.関東大震災を始めとする災害が人々の記憶に残り,災害を自分事として考えるきっかけとなるよう展示方法を検討し,デジタルコンテンツも活用した.
科博は,東京帝国大学地震学教室や科博職員が撮影・収集した関東大震災の被害写真を,多く所蔵している.それらの写真を地図上で現在の場所と重ねることで,実際に大災害が関東地方で起きたこと,100年前と現在の違いからこの間にどう街が変わっていったのかを,考えるきっかけになる.企画展では,当時の航空写真を現在の3D地図に重ねるコンテンツを大型ディスプレイで展示した.一面焼け野原となった東京が,現在は高層ビルが建ち並ぶ街に復興していることに驚く一方で,100年前に実際東京で起こった惨状を目の当たりにし,さらに大地震が起きた将来の東京かもしれないという,複雑な感情が入り混じる.さらに,被害写真や当時の人々の避難の様子なども地図上に重ねることで,ただ文章を読むだけよりも,自分も同じように行動しているように感じられる.
関東大震災だけでなく,日本は古くから全国各地で多くの災害に見舞われてきた.江戸時代はまだ写真や映像の技術はなかったため,災害は文字と絵によって伝え残されてきた.しかし,歴史的な資料はくずし字で書かれており,何が書いてあるのかよく分からないものや,1枚の絵にたくさんの情報を書くため文字が細かくて拡大しなければ分かりづらい,というものも多い.企画展では,絵図の高解像度画像を使ったデジタルミュージアムを展示し,コントローラーを使って自由に自分が見たい資料を見たい大きさで見られるようにした.大型ディスプレイで見ることによって,大勢で会話をしながら絵について考えることもできる.さらには,AIによる合成音声での読み上げや解説を聞くことができ,その絵図に何が書かれているのかが分かるようになった.最新のデジタル技術によって,絵にアニメーションを付けることもでき,こどもたちも関心が持てるコンテンツになった.
本展示は360度VR撮影を行い,当館Webサイト上で展示を見られるよう準備中である.実際の会場では展示することができなかった資料や情報のほか,英語によるパネル解説や資料のキャプションも追加する.展示を見に来られなかった遠方の方だけでなく,一度見た方や,今後の学習活動などに活用してもらえることを期待する.本発表では,これらのコンテンツを実際に紹介する.
日本には,災害に関する歴史的な資料が長く残されてきており,過去の災害が今に伝わっている.さらに後世に伝えるためには,どのように残せばよいか,今だから残せる形を検討していく必要がある.そのためには,自分事としても捉えやすいデジタルコンテンツの活用は,今後もますます重要になると思われる.例えば,デジタルミュージアム上で災害ごとや地域ごとに絵図を展示することができれば,実際に展示することなく様々なところで多くの方が活用することができ,身近な災害の伝承や防災教育に繋がる.
最後に,本発表のデジタルコンテンツの作成には,東京大学大学院情報学環渡邉英徳研究室,あいおいニッセイ同和損保,NHK財団の皆様に多大なるご協力をいただきました.ここに記して感謝申し上げます.
科博は,東京帝国大学地震学教室や科博職員が撮影・収集した関東大震災の被害写真を,多く所蔵している.それらの写真を地図上で現在の場所と重ねることで,実際に大災害が関東地方で起きたこと,100年前と現在の違いからこの間にどう街が変わっていったのかを,考えるきっかけになる.企画展では,当時の航空写真を現在の3D地図に重ねるコンテンツを大型ディスプレイで展示した.一面焼け野原となった東京が,現在は高層ビルが建ち並ぶ街に復興していることに驚く一方で,100年前に実際東京で起こった惨状を目の当たりにし,さらに大地震が起きた将来の東京かもしれないという,複雑な感情が入り混じる.さらに,被害写真や当時の人々の避難の様子なども地図上に重ねることで,ただ文章を読むだけよりも,自分も同じように行動しているように感じられる.
関東大震災だけでなく,日本は古くから全国各地で多くの災害に見舞われてきた.江戸時代はまだ写真や映像の技術はなかったため,災害は文字と絵によって伝え残されてきた.しかし,歴史的な資料はくずし字で書かれており,何が書いてあるのかよく分からないものや,1枚の絵にたくさんの情報を書くため文字が細かくて拡大しなければ分かりづらい,というものも多い.企画展では,絵図の高解像度画像を使ったデジタルミュージアムを展示し,コントローラーを使って自由に自分が見たい資料を見たい大きさで見られるようにした.大型ディスプレイで見ることによって,大勢で会話をしながら絵について考えることもできる.さらには,AIによる合成音声での読み上げや解説を聞くことができ,その絵図に何が書かれているのかが分かるようになった.最新のデジタル技術によって,絵にアニメーションを付けることもでき,こどもたちも関心が持てるコンテンツになった.
本展示は360度VR撮影を行い,当館Webサイト上で展示を見られるよう準備中である.実際の会場では展示することができなかった資料や情報のほか,英語によるパネル解説や資料のキャプションも追加する.展示を見に来られなかった遠方の方だけでなく,一度見た方や,今後の学習活動などに活用してもらえることを期待する.本発表では,これらのコンテンツを実際に紹介する.
日本には,災害に関する歴史的な資料が長く残されてきており,過去の災害が今に伝わっている.さらに後世に伝えるためには,どのように残せばよいか,今だから残せる形を検討していく必要がある.そのためには,自分事としても捉えやすいデジタルコンテンツの活用は,今後もますます重要になると思われる.例えば,デジタルミュージアム上で災害ごとや地域ごとに絵図を展示することができれば,実際に展示することなく様々なところで多くの方が活用することができ,身近な災害の伝承や防災教育に繋がる.
最後に,本発表のデジタルコンテンツの作成には,東京大学大学院情報学環渡邉英徳研究室,あいおいニッセイ同和損保,NHK財団の皆様に多大なるご協力をいただきました.ここに記して感謝申し上げます.
