09:15 〜 09:30
[HDS10-02] VRを活用した積雪寒冷都市における津波避難シミュレーション
キーワード:津波避難訓練、VR、GIS、防災教育
1.はじめに
東日本大震災以降、日本では津波災害に対する危機意識が高まり、国レベルから国民レベルに至るまで、さまざまなスケールで津波対策が議論されてきた。北海道では、千島海溝沖の大地震が30年以内に7~40%の確率で発生すると予測されており、沿岸部での津波対策が急務となっている(地震調査研究推進本部、2018年)。さらに、2018年9月の北海道胆振東部地震では、火力発電所の停止に伴う大規模な停電(ブラックアウト)が発生したように、防災・減災を考える上で複合災害や2次災害といった事態を想定する必要がある。
1.目的と方法
本研究の目的は、WebVRを用いた仮想津波避難訓練システムを開発し、様々な条件下で訓練を実施し、津波災害時の避難行動を仮想空間上で再現することである。函館市の観光名所の一つである金森倉庫付近を対象とした仮想避難訓練システムを開発し、VR避難訓練が実施する。その結果を元に、津波避難を想定した訓練参加者の避難行動を分析する。本研究で開発した避難訓練システムはWebVRを採用しており、多機能端末やVR専用ヘッドマウントディスプレイなど幅広いデバイスに対応する。
3.結果
VR避難訓練の結果、視界が限られている夜間において、参加者は函館山のような高台よりも、高層ビルや市街地を目指す傾向があることが分かった。また、参加者が函館の地理に慣れていない場合、函館湾から離れて太平洋側の海岸線に近づく傾向があった。交差点では、体験者が最短の避難経路から外れる可能性が高かった。このような行動は、津波災害が発生した場合には直ちに海岸線から離れるという原則に基づいていると考えられる。しかし、函館山周辺の特殊な地形において、これが必ずしも正しいとは限らず、適切な対策が必要となる。またいくつかの課題も残されており、このシステムは、誤った方向を選択した参加者のその後の行動を把握することができない。さらにVR訓練を長時間行うと、3D酔いなどが発生する可能性があるため、システムの導入と訓練時間について検討する必要がある。
4.結論
今後は建物の倒壊、火災、土砂崩れなど、地震時に発生する可能性のある状況をシミュレーション・分析し、さまざまなシナリオで被災者の行動がどのように変化するかを明らかにしていく。これにより、災害時における被災者の行動をより詳細に把握する。
※本研究は,文部科学省「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2期・第3期)」の成果の一部である。
[1]北海道東部(網走、釧路、根室地方)の地震活動の特徴、地震調査研究推進本部(オンライン)、https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_hokkaido/p01_tobu/
東日本大震災以降、日本では津波災害に対する危機意識が高まり、国レベルから国民レベルに至るまで、さまざまなスケールで津波対策が議論されてきた。北海道では、千島海溝沖の大地震が30年以内に7~40%の確率で発生すると予測されており、沿岸部での津波対策が急務となっている(地震調査研究推進本部、2018年)。さらに、2018年9月の北海道胆振東部地震では、火力発電所の停止に伴う大規模な停電(ブラックアウト)が発生したように、防災・減災を考える上で複合災害や2次災害といった事態を想定する必要がある。
1.目的と方法
本研究の目的は、WebVRを用いた仮想津波避難訓練システムを開発し、様々な条件下で訓練を実施し、津波災害時の避難行動を仮想空間上で再現することである。函館市の観光名所の一つである金森倉庫付近を対象とした仮想避難訓練システムを開発し、VR避難訓練が実施する。その結果を元に、津波避難を想定した訓練参加者の避難行動を分析する。本研究で開発した避難訓練システムはWebVRを採用しており、多機能端末やVR専用ヘッドマウントディスプレイなど幅広いデバイスに対応する。
3.結果
VR避難訓練の結果、視界が限られている夜間において、参加者は函館山のような高台よりも、高層ビルや市街地を目指す傾向があることが分かった。また、参加者が函館の地理に慣れていない場合、函館湾から離れて太平洋側の海岸線に近づく傾向があった。交差点では、体験者が最短の避難経路から外れる可能性が高かった。このような行動は、津波災害が発生した場合には直ちに海岸線から離れるという原則に基づいていると考えられる。しかし、函館山周辺の特殊な地形において、これが必ずしも正しいとは限らず、適切な対策が必要となる。またいくつかの課題も残されており、このシステムは、誤った方向を選択した参加者のその後の行動を把握することができない。さらにVR訓練を長時間行うと、3D酔いなどが発生する可能性があるため、システムの導入と訓練時間について検討する必要がある。
4.結論
今後は建物の倒壊、火災、土砂崩れなど、地震時に発生する可能性のある状況をシミュレーション・分析し、さまざまなシナリオで被災者の行動がどのように変化するかを明らかにしていく。これにより、災害時における被災者の行動をより詳細に把握する。
※本研究は,文部科学省「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2期・第3期)」の成果の一部である。
[1]北海道東部(網走、釧路、根室地方)の地震活動の特徴、地震調査研究推進本部(オンライン)、https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_hokkaido/p01_tobu/
