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[HDS10-07] 液状化が長屋に及ぼす住家被害認定調査の特徴的課題の明確化 −令和6年能登半島地震における富山県氷見市を事例として−
キーワード:住家被害認定調査、液状化、長屋
2024年1月1日に能登沖を震源とする能登半島地震が発生した。石川県の能登地方を中心に、揺れによる被害だけでなく、津波と火災によって多くの被害をもたらした。石川県に隣接する富山県西部においても、揺れにともなった住家被害が発生した。特に、沿岸部では砂地地盤であったこともあり、液状化が発生し、多くの建物被害を誘発した。被災者への生活再建支援の第一歩として実施されるのが「住家被害認定調査」である。この調査は、内閣府が示す指針に基づいて実施される。この指針に基づけば、地震災害においては、第一次調査として外観から被害を判定することとなっている。富山県氷見市において被害が多く発生した地域では、その家屋の多くが長屋形式の建物であった。そのため、外観で判定できる範囲はごくわずかであった。さらに、液状化による被害が外観に出づらい状況が多く確認された。一方で、罹災証明書の交付時に被災者から提示される内部被害の様相を確認すると、外観とは大きく異なり、内部に被害が集中していた。つまり、内閣府の指針に基づいた外観調査だけでは被害程度を決定することは非常に難しい実態があった。また指針では、第二次調査として内観調査を実施することとなっているが、これには多くの時間を要することが課題である。被災者の生活再建を、より迅速に実施するためには、効率的な住家被害認定調査の実施が欠かせない。そのために、長屋の建物に対して液状化が及ぼした被害を、確実かつ迅速に判定する手法が必要であった。著者らは、これらの被害状況に対して、被災者が提示する被害写真および被災者への聞き取り調査に基づき、住家の被害判定を推進した。この過程で、見落とされがちな被害の特徴を明確化しつつ、留意点を整理した。本研究では、それらを体系的に示すとともに、次の災害に備え、同様な被害が発生しうる場合の対応指針としてとりまとめる。
