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[HGM03-P06] 霞ヶ浦北浦における湖底平原への堆積物供給プロセス:粒度分布の成分分離解析による検討
キーワード:粒度分布、対数比解析、粒径成分分離、湖沼堆積物
日本の海跡湖には,共通する湖底地形として,沿岸に見られる平坦面である湖棚や,その沖に見られる湖底平原などが存在することが知られている.茨城県南部に位置する海跡湖である霞ヶ浦北浦においても同様の湖底地形が分布する.湖棚上の堆積物は砂質で淘汰が良いことから,これまで波浪による影響が大きいことが示唆されてきた.一方,より沖の湖底平原には泥質堆積物が分布しており,波浪による巻き上げと再堆積の影響があると考えられているが,その詳細は明らかになっていない.この研究では,粒度分布の詳細な解析から,湖底平原の土砂供給の起源やプロセスの検討を行った.霞ヶ浦北浦において湖心周辺の湖底平原の計32地点で表層堆積物を採取し,粒度分析を行った.得られた粒度分布はEMアルゴリズムによる対数正規分布への成分分離を行った.成分数の決定はYamaguchi (2023)に基づいて行い,得られた成分をさらに4つの共通する成分群に分類した.各成分群の混合割合について,不変動成分の推定と対数比解析を行った.その結果,細粒な成分群は湖内での地域差が小さく,珪藻など湖内で生産された生物起源の粒子や,繰り返しの巻き上げによる均一な拡散が示唆された.一方,最も粗粒な成分群の対数比は湖内での地域差が大きかった.岸に近い場所で粗粒な成分群は多く,波浪による沿岸からの供給が示唆された.また,調査地域東部に流入する中里川の河口域においても,同等の水深の場所に比べて粗粒な成分群が多く,土砂供給があることが示唆された.
