日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-RE 応用地質学・資源エネルギー利用

[H-RE12] 応用地質学の新展開

2024年5月26日(日) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:竹下 徹(パシフィックコンサルタンツ(株)・国土基盤事業本部 顧問)、竹村 貴人(日本大学文理学部地球科学科)、太田 岳洋(山口大学大学院創成科学研究科地球科学分野)

17:15 〜 18:45

[HRE12-P06] 都市部における地質情報の収集と調査検討方法について その2

*北田 奈緒子1 (1.一般財団法人 GRI財団)

キーワード:地盤情報、大阪、データベース、表層地質、液状化

関西地域における地盤情報の蓄積については,昨年度報告を行い,地質リスクの抽出などに利活用が可能であることを報告した(北田他,2023).本発表ではさらにこれらの情報を用いて,液状化に深い関係がある旧河道領域の特徴について検討を行った結果を報告する.本報告は,地下水地盤環境に関する研究協議会の地下水防災委員会において検討を行った内容を含んでいる.
 これまでより,地震時の液状化発生地域は旧河道部と密接な関係があると考えられ,被害予測時にも注目される事項である.しかしながら,実際の地震に伴う液状化被害領域は旧河道部よりも広範囲に分布することが多い.本研究では,淀川河川流域を対象地域として検討を行った.1995年の兵庫県南部地震発生時に淀川流域では液状化が確認された.この時,液状化発生が認められた地域は,1)埋立地,2)上町断層下盤付近,3)淀川河道流域である.そこで1)や2)の影響を取り除くため,大阪守口市付近を検討地とした.
 当該地における現河川周辺のボーリングデータを用いて完新統堆積物の層厚分布から,完新統下端部で大きく下方に削りこむ形状を形成する完新統河道部を抽出した.完新統河道部は現在の河川や治水地形分類図に示される川幅に比べて3倍程度広い幅を持っていることが特徴であり,治水地形分類図の旧河道を内包する.1995年の兵庫県南部地震時に発生した液状化及びそれに伴う被害分布地域は,完新統河道部に内包されることが確認された.完新統河道部は周辺に比べて完新統堆積物の層厚が大きいことが特徴である.この範囲の中で,液状化が発生した地域は,表層部に砂層が分布する地域であることが確認された.