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[MAG34-P03] 福島県川底土におけるCs-137吸脱着過程の解明に向けたモデル構築
キーワード:Cs-137、福島第一原子力発電所、川底土、吸脱着モデル、溶存態、固液分配係数
2011年3月の福島第一原子力発電所事故により多量のCs-137が大気中に放出され、速やかに陸域へと沈着した。流域におけるCs-137の流出形態は溶存態、懸濁態などが大半を占めている。河川中におけるCs-137移行では固相と液相間でのイオン交換や土粒子の沈降や再懸濁などが関与しており、懸濁態や溶存態以外にも川底土に着目する必要がある。特に土砂侵食に伴う懸濁態の生成は降雨時にしか起こらないが、川底土に着目すれば平水時のCs-137動態を解明することが可能となる。そこで本研究では固相と液相間の吸脱着に着目し、モデルを使用した解析を行ったうえで川底土Cs-137濃度の形成要因を解明することを目的とする。今回の研究では、環境省が2011年から2019年に採取した川底土のデータと福島県と筑波大学放射線・アイソトープ地球システム研究センターが採取した溶存態のデータを使用した。対象地域は、川底土と溶存態の両方を採取していた福島県中通り・浜通りの流域である。作成した吸脱着モデルでは液相からの吸着反応速度と固相からの脱離反応速度と放射壊変を考慮した。このモデルに現地で得られた溶存態の時系列データと実測の川底土の初期濃度を代入することで、2つの反応速度のみを変数とする川底土Cs-137濃度の時系列データが得られる。このモデルにおける川底土Cs-137濃度により実測の川底土Cs-137濃度を再現することで現場における吸脱着の反応速度を評価する。実際に、初期1年における川底土Cs-137濃度の変化は脱離速度に起因していることが判明し、流域におけるCs-137の沈着分布や河川水質との関係が示唆された。