14:30 〜 14:45
[MGI30-04] 国連海洋科学の10年におけるSeabed2030への取り組みについて
キーワード:Seabed2030、GEBCO、国連海洋科学の10年、海底地形データ
国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下、JAMSTEC)では、2019年10月より数理海底地形科学という分野融合型プログラムの一つが立ち上がり (http://www.jamstec.go.jp/msg/j/)、機械学習分野や国内外の機関との連携が進んでいることをJpGU2021にて報告した。以降のJAMSTECの貢献についての進捗や今後の見通しを、このセッションにて紹介したい。
数理海底地形科学プロジェクトの柱の一つには、高分解能の海底地形情報の需要が高まり、海底地形情報へ寄与する項目が挙げられる。これは,GEBCO(General Bathymetric Chart of the Oceans: 大洋水深総図)という国際水路機関(IHO)とユネスコ政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC)の共同事業として、全世界の海底地形図の作成と海底地形名称の標準化に協力をするものである。2017年には、日本財団の資金提供により「The NIPPON FOUNDATION - GEBCO SEABED2030 Project」(以下、Seabed2030と略)という2030年までに全世界の海底を水深1500 mまでは基本として100 m x 100 mグリッドの解像度で作成する提案が進行中である。
一つのアプローチは、JAMSTECの所有する船舶による実測データの提供である。英国の海洋データセンターがグローバルセンターとして取りまとめ、その下に下記の4つの地域センターが担当海域のデータ収集をしている。日本は、4の地域センターに属しており、モラトリアム明けの航海データの年度更新作業に貢献している。
1. 大西洋とインド洋:米国コロンビア大学ラモント・ドハティ研究所
2. 北極および北太平洋地域センター(ニューハンプシャー大学およびストックホルム大学共同主催)
3. 南氷洋(ドイツ、アルフレッドウェゲナー研究所)
4. 南・西太平洋(ニュージーランド国立水・大気研究所)
さらに国際水路協会(IHO)デジタル海底地形データセンターにて世界の地形データのデジタルアーカイブがなされ、中央リポジトリ機能を有している。JAMSTECデータは担当センターだけでなく、他海域データも提供している。観測技術員による取得データのQAQC、研究データ公開の管理体制が確立していることから、世界の地域センターからモデルとされている。
これらの機関との定期的な会合、テーマごとの小委員会、一般向け講演会などが開催されている。昨年には、新たなグローバルスケールの次世代マッピングの連携活動の試みとして、「Ocean Shot」計画が笹川平和財団の運営のもと立ち上がった。ニューハンプシャー大学が中心となり、スクリップス研究所、ストックホルム大学、ニューハンプシャー大学、そしてJAMSTECがこのプロジェクトには参加している。
国内の連携としては、海上保安庁海洋情報部との海底地形データに関する情報共有を行う連携協定を結び、それぞれの機関の特徴を活かしながら、「Seabed2030」へ貢献している。
2023年5月のプレス発表では、実測データの占める割合は、依然として海洋全体の25%にしかすぎず、海底地形図のギャップを如何に埋めて行くか、国際的な取り組みが必要とされている。2021年1月よりUNESCOによる「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」が 「Seabed2030」を後押しするようにスタートした。2030年までの10年間、持続可能な開発目標 (SDGs)の一つSDG14(海洋)の実現に向けて、未知の部分が多く残されている海洋分野に注力する取組みが国内外で推進されている。関連機関が連携し合い、我が国における国連海洋科学の10年の進展を加速すべきであろう。
海底地形図のギャップを埋めるための新たなアプローチとして、数理海底地形プロジェクトでは、機械学習による低解像度から高解像度データに昇華する項目を打ち立て、大きな成果を挙げている。例えば、日高ら(2021)は、低解像度の水深データしか得られない海域に対して貢献するため、深層学習を用いた画像超解像技術(Image Super-Resolution, ISR)の適用可能性を検討した。村上・松岡ら(投稿中)は、そのISRをさらに訓練データの海域に依存しない手法へと発展させ、沖ノ鳥島における低解像度の水深データの高解像度化に成功している。トラフ軸海盆部と海洋底のプチスポット起源の海山といった特徴の異なる海底形状のデータに対して、汎用性を示すものである。こうした二軸のアプローチで2030年までに世界海底地形データのギャップを埋めていく戦略である。
数理海底地形科学プロジェクトの柱の一つには、高分解能の海底地形情報の需要が高まり、海底地形情報へ寄与する項目が挙げられる。これは,GEBCO(General Bathymetric Chart of the Oceans: 大洋水深総図)という国際水路機関(IHO)とユネスコ政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC)の共同事業として、全世界の海底地形図の作成と海底地形名称の標準化に協力をするものである。2017年には、日本財団の資金提供により「The NIPPON FOUNDATION - GEBCO SEABED2030 Project」(以下、Seabed2030と略)という2030年までに全世界の海底を水深1500 mまでは基本として100 m x 100 mグリッドの解像度で作成する提案が進行中である。
一つのアプローチは、JAMSTECの所有する船舶による実測データの提供である。英国の海洋データセンターがグローバルセンターとして取りまとめ、その下に下記の4つの地域センターが担当海域のデータ収集をしている。日本は、4の地域センターに属しており、モラトリアム明けの航海データの年度更新作業に貢献している。
1. 大西洋とインド洋:米国コロンビア大学ラモント・ドハティ研究所
2. 北極および北太平洋地域センター(ニューハンプシャー大学およびストックホルム大学共同主催)
3. 南氷洋(ドイツ、アルフレッドウェゲナー研究所)
4. 南・西太平洋(ニュージーランド国立水・大気研究所)
さらに国際水路協会(IHO)デジタル海底地形データセンターにて世界の地形データのデジタルアーカイブがなされ、中央リポジトリ機能を有している。JAMSTECデータは担当センターだけでなく、他海域データも提供している。観測技術員による取得データのQAQC、研究データ公開の管理体制が確立していることから、世界の地域センターからモデルとされている。
これらの機関との定期的な会合、テーマごとの小委員会、一般向け講演会などが開催されている。昨年には、新たなグローバルスケールの次世代マッピングの連携活動の試みとして、「Ocean Shot」計画が笹川平和財団の運営のもと立ち上がった。ニューハンプシャー大学が中心となり、スクリップス研究所、ストックホルム大学、ニューハンプシャー大学、そしてJAMSTECがこのプロジェクトには参加している。
国内の連携としては、海上保安庁海洋情報部との海底地形データに関する情報共有を行う連携協定を結び、それぞれの機関の特徴を活かしながら、「Seabed2030」へ貢献している。
2023年5月のプレス発表では、実測データの占める割合は、依然として海洋全体の25%にしかすぎず、海底地形図のギャップを如何に埋めて行くか、国際的な取り組みが必要とされている。2021年1月よりUNESCOによる「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」が 「Seabed2030」を後押しするようにスタートした。2030年までの10年間、持続可能な開発目標 (SDGs)の一つSDG14(海洋)の実現に向けて、未知の部分が多く残されている海洋分野に注力する取組みが国内外で推進されている。関連機関が連携し合い、我が国における国連海洋科学の10年の進展を加速すべきであろう。
海底地形図のギャップを埋めるための新たなアプローチとして、数理海底地形プロジェクトでは、機械学習による低解像度から高解像度データに昇華する項目を打ち立て、大きな成果を挙げている。例えば、日高ら(2021)は、低解像度の水深データしか得られない海域に対して貢献するため、深層学習を用いた画像超解像技術(Image Super-Resolution, ISR)の適用可能性を検討した。村上・松岡ら(投稿中)は、そのISRをさらに訓練データの海域に依存しない手法へと発展させ、沖ノ鳥島における低解像度の水深データの高解像度化に成功している。トラフ軸海盆部と海洋底のプチスポット起源の海山といった特徴の異なる海底形状のデータに対して、汎用性を示すものである。こうした二軸のアプローチで2030年までに世界海底地形データのギャップを埋めていく戦略である。