日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS11] 山の科学

2024年5月27日(月) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)、奈良間 千之(新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム)、西村 基志(信州大学 先鋭領域融合研究群 山岳科学研究拠点)

17:15 〜 18:45

[MIS11-P09] 雪氷藻類の繁殖によって形成された緑雪および黄色雪の可視域反射スペクトル

*阿部 稜平1竹内 望1 (1.千葉大学)

キーワード:雪氷藻類、彩雪現象、緑雪、黄色雪、反射スペクトル、苗場山

雪氷藻類とは,氷河や雪渓の雪氷表面で繁殖する光合成微生物である.雪氷藻類の細胞内には多様な色素が含まれるため,藻類が繁殖した積雪表面は,緑色,黄色,および赤色など多様な着色を示す.これらの藻類による積雪の着色は,総称して彩雪現象と呼ばれる.緑雪と黄色雪は,日本国内の樹林帯で典型的な彩雪であり,それぞれ緑藻であるChloromonas 属藻類と黄金色藻であるOchromonas 属藻類などの繁殖により形成される.両者は色素組成が異なるため,可視波長域の反射スペクトルは異なる概形を示す.しかしながら,これまで両者の違いに着目した研究はなかった.そこで本研究では,長野県苗場山麓の緑雪と黄色雪の反射スペクトルに着目し,彩雪現象の反射スペクトルと雪氷藻類群集の関係を明らかにすることを目的とした.緑雪および黄雪の反射スペクトルは,いずれもよく似た形状を示したが,波長675 nmと450 nmでわずかに異なる特徴を示した.波長675 nmでの吸収の特徴は,藻類細胞に含まれるクロロフィル色素の違いによるものと考えられる.波長450 nmから570 nmの範囲にも吸収が現れたが,緑雪と黄色雪では異なる形状を示した.この違いは,黄色雪を構成する雪氷藻類の細胞中には,クロロフィルcとキサントフィル色素を多く含む特徴があるためと考えられる.