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[MIS12-P02] モンゴル北西部サンギンダライ湖の湖成年縞の鉱物組成と完新世の気候変動との関係性

キーワード:湖成年縞、モノハイドロカルサイト、モンゴル北西部、完新世
モンゴルは,北部に永久凍土帯,南部に砂漠乾燥帯が位置し,全球的な気候変動に伴う永久凍土や砂漠環境の応答を理解する上で重要な地域である。本研究では,モンゴル北西部に位置するサンギンダライ湖の湖底堆積物を対象とし,その鉱物組成変化を調べることにより,完新世の気候変動に対する同地域の古環境変動の解明を試みている。
本研究で用いた試料は,サンギンダライ湖(N49°15’42”; E98°55’ 23”; 標高1885 m; 水深25 m)において,2016年7月に採取した表層堆積物コア(16SD02; 約82 cm長)と,2019年3月に採取したボーリングコア(19SD01~05; 合計約20 m長)である。高知大学海洋コア国際研究所設置のXRFコアスキャナー(Itrax)を用いて高解像度元素組成変動を測定し,コア間の対比と複合コアの構築を行った。また土壌14C年代に基づき年代モデルを構築した。構築した年代モデルの結果,複合コア最深部(深度12.4m)の年代が約3.8万年前に,深度5.1mがベーリング・アレレード温暖期に,そして深度3.2mが完新世初期に相当することが明らかになった。
完新世の堆積物は,微細なラミナが発達する灰色石灰質泥層と,ラミナ発達度の弱い茶褐色泥層の互層からなり,Ca/Ti比と良い相関を示し,数百年~千年スケールで増減していた。灰色石灰質泥層に含まれる微細なラミナの平均層厚は約0.32mmであり,複合コアの年代から算出される堆積速度(約35cm/ky,0.35mm/yr)とほぼ一致するため,ラミナは年縞であると考えられる。XRDを用いた鉱物組成分析の結果,茶褐色泥層はモノハイドロカルサイト(MHC)やカルサイトが,灰色石灰質泥層はドロマイトや黄鉄鉱が含まれることが明らかになった。またMHCは完新世後期の層準に多く見られる特徴が見られた。
MHCは低温で安定な炭酸塩鉱物であり, 寒冷期に当たる層準で多く発見されており(Fukushi et al., 2011; Eva et al., 2023),サンギンダライ湖でも完新世後期の層準で見られる事から低水温環境を反映していると考えられる。またラミナ発達度の弱い茶褐色泥層が低温湿潤環境,年縞の発達する灰色石灰質泥層は高温乾燥環境で形成されたと解釈される。今後はより解析を進め,約千年周期で同地域の環境が大きく変動した要因についての考察を進める予定である。
本研究で用いた試料は,サンギンダライ湖(N49°15’42”; E98°55’ 23”; 標高1885 m; 水深25 m)において,2016年7月に採取した表層堆積物コア(16SD02; 約82 cm長)と,2019年3月に採取したボーリングコア(19SD01~05; 合計約20 m長)である。高知大学海洋コア国際研究所設置のXRFコアスキャナー(Itrax)を用いて高解像度元素組成変動を測定し,コア間の対比と複合コアの構築を行った。また土壌14C年代に基づき年代モデルを構築した。構築した年代モデルの結果,複合コア最深部(深度12.4m)の年代が約3.8万年前に,深度5.1mがベーリング・アレレード温暖期に,そして深度3.2mが完新世初期に相当することが明らかになった。
完新世の堆積物は,微細なラミナが発達する灰色石灰質泥層と,ラミナ発達度の弱い茶褐色泥層の互層からなり,Ca/Ti比と良い相関を示し,数百年~千年スケールで増減していた。灰色石灰質泥層に含まれる微細なラミナの平均層厚は約0.32mmであり,複合コアの年代から算出される堆積速度(約35cm/ky,0.35mm/yr)とほぼ一致するため,ラミナは年縞であると考えられる。XRDを用いた鉱物組成分析の結果,茶褐色泥層はモノハイドロカルサイト(MHC)やカルサイトが,灰色石灰質泥層はドロマイトや黄鉄鉱が含まれることが明らかになった。またMHCは完新世後期の層準に多く見られる特徴が見られた。
MHCは低温で安定な炭酸塩鉱物であり, 寒冷期に当たる層準で多く発見されており(Fukushi et al., 2011; Eva et al., 2023),サンギンダライ湖でも完新世後期の層準で見られる事から低水温環境を反映していると考えられる。またラミナ発達度の弱い茶褐色泥層が低温湿潤環境,年縞の発達する灰色石灰質泥層は高温乾燥環境で形成されたと解釈される。今後はより解析を進め,約千年周期で同地域の環境が大きく変動した要因についての考察を進める予定である。