日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS12] 古気候・古海洋変動

2024年5月29日(水) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:山崎 敦子(名古屋大学大学院環境学研究科)、岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、長谷川 精(高知大学理工学部)、小長谷 貴志(東京大学大気海洋研究所)

17:15 〜 18:45

[MIS12-P27] 過去180万年間の琵琶湖烏丸コアから推定されるオービタルスケールの洪水頻度

*倉本 和佳1池田 昌之1 (1.東京大学)

キーワード:モンスーン、ミランコビッチサイクル、更新世、琵琶湖

アジアモンスーンは日射に対する海と陸の比熱の違いによって発達する大気循環の季節変動で、全球的な物質循環や熱輸送とも相互作用する。そのため、アジアモンスーンを駆動する日射と氷床の相対的影響が地域や時代によって異なることがプロキシや気候モデルにより指摘されている。モンスーン前線の影響下にある日本の琵琶湖では、花粉から推定された過去45万年間の降水量は主に気候歳差の2万年周期で変動したが、気候モデルでは10万年周期が卓越した(Zhao et al., 2023)。ただし、花粉記録は平均約3,000年間隔にも関わらず、数千年周期が卓越するため、高時間分解能での検討が必要である。そこで本研究では、琵琶湖湖岸の烏丸コアの礫頻度・粒度変化(増田・里口, 2021)、および堆積相から推定した湖水位変動から過去180万年間の降水量変動の復元を試みた。湖水位変動には千年スケール変動が卓越し、地震性の沈降運動の影響が大きい一方で、洪水に関連する礫頻度は2万年、4万年、10万年、40万年といったオービタルスケールの変動周期が卓越した。特に、2万年周期の振幅変調に10万年周期や40万年周期振幅変調が卓越するという花粉記録と同様の挙動が確認された。また、氷床サイクルの卓越周期の変動に合わせて4万年、10万年周期の卓越が見られた。ただし、気候モデルの結果ほど10万年周期は卓越せず、琵琶湖の降水量変化には気候歳差周期での日射変化の影響が強かったことが示唆された。