日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] 大気電気学:大気電気分野の物理現象解明から減災への応用まで

2024年5月29日(水) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:菊池 博史(国立大学法人 電気通信大学)、鴨川 仁(静岡県立大学グローバル地域センター)

17:15 〜 18:45

[MIS13-P06] 夏季積乱雲の雲内粒子と雷放電路の統計解析による落雷地点予測手法の検討

*八町 篤弥1菊池 博史1芳原 容英1、吉川 栄一2中村 佳敬3牛尾 知雄4 (1.国立大学法人 電気通信大学大学院、2.宇宙航空研究開発機構、3.神戸市立工業高等専門学校、4.国立大学法人 大阪大学)

キーワード:気象レーダ、雷放電

ゲリラ豪雨や落雷などのシビア現象が増加しており, シビア現象は主に局所的かつ突発的に発達した積乱雲が原因とされている. 局地的かつ短時間に発達した積乱雲の観測を目的とし, X帯気象用二重偏波フェーズドアレイレーダ(MP-PAWR)が開発された. MP-PAWRは, 高頻度・高精度な観測を可能とし, 積乱雲の詳細な観測が期待されている. また, 雷放電の観測データをシビア現象の予測に利用する研究が進められており, 電気通信大学とJAXAは関東圏でLF帯3次元雷標定装置での観測を2020年より開始した. 雷放電と雨雲の内部構造及び偏波パラメータはしばしば関連付けられ, 落雷予測や豪雨予測における重要な指標と考えられてきた.しかし,これまでに高時間分解能かつ高密度な3次元解析を同時に行なった事例は少なく,雲内降水粒子と雷放電路の関連性が明確でない.
本研究では,MPPAWRにより得られる偏波パラメータと雷標定結果の時空間的な比較を行い,偏波データと放電路の関係性を議論した.用いた偏波パラメータは偏波間位相差変化率(KDP)とレーダ反射因子差(ZDR)である.KDPは粒形分布,ZDRは降水粒子の形状や混在度合いによって異なる値を示す.これらの雲内粒子分布と3次元雷標定結果から3次元同時解析を行った.落雷と雲放電の2種類の事例解析を行い, それぞれの結果の鉛直分布及び水平分布を示した.結果として,KDPと雷放電の関係性では,0~2deg/kmの雨滴の扁平度が小さい領域や雨滴の集中が比較的少ない領域に雷放電が進展する特徴を得ることができた.また,ZDRと雷放電の関係性では,扁平度合が0に近い領域に進展する特徴を得ることができた.また発表では、雲内の粒子判別結果と落雷時の放電路の関係性から落雷地点の予測方法についても発表する.