[M-IS15] 地球表層における粒子重力流のダイナミクス

[MIS15-01] 大谷崩および富士山における土石流の発生・流下特性

★招待講演

*今泉 文寿¹、高山 翔揮¹、池田 敦² (1.静岡大学農学部、2.筑波大学生命環境系)

キーワード：土石流、現地観測、UAV

土石流は大きな破壊力，長い流下距離，高い流速を有し，甚大な物的・人的被害を発生させる土砂移動現象である。これまでの土石流研究の多くは土石流渓流の下流部において行われたものが多く，土石流の発生域における知見は未だに乏しい。その一方で，レーザー測量やUAVを用いた計測技術の向上により，土石流の発生域におけるデータの蓄積が可能となっている。また観測機器の発達により，土石流に関する多面的な観測が行われるようになった。そこで本研究では静岡県の大谷崩と富士山大沢崩れの土石流発生域において現地観測を行い，土石流の発生・流下過程の把握を試みた。大谷崩での観測の結果，土石流は比較的渓床堆積物が厚く貯まった河道区間や支流からの水の流入地点で多く発生していることがわかった。土石流の濃度や流下ごとは，土石流段波ごとで変化した。大沢崩れでは，地盤の凍結が土石流の発生・流下特性に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。