17:15 〜 18:45
[MIS20-P09] 準三次元シミュレーションモデルを用いた津波堆積物の堆積構造の再現と水理学的特徴の解析

津波堆積物には,上方細粒化・粗粒化,ユニット構造,内陸薄層化・細粒化など,特有の堆積構造が観察されることがある.内陸薄層化・細粒化の形成要因を流れが支えて運ぶことのできる粒子の全容量である「流れのキャパシティ」の減少で説明する考え方(藤原,2007),内陸細粒化の形成要因を沈降速度の差により粗粒砂が優先的に堆積することによるする考え方(藤野,2006)などがある.しかし,実際の堆積構造が形成されたときの水理パラメータを直接知ることは困難である.そこで本研究では,堆積構造と水理パラメータとの関係を定量的に明らかにし,津波堆積物の構造の解釈を数値的に再検討することを目的に,仙台平野を対象に2011年東北沖津波のシミュレーションを行い,その結果から津波堆積物形成時の水理条件を分析した.仙台平野では,Abe et al.(2012)やGoto et al.(2012)により測線に沿った堆積物データが得られている.本研究では,これらの測線を対象とした計算と現地データとの比較を行った.
シミュレーションに使用した数値モデルは,オランダのDeltares社が開発した準三次元シミュレーションモデルDelft3Dである.このモデルは,水平方向だけでなく鉛直方向の物理量の分布も解像可能であり,堆積構造と水理パラメータの関係を詳しく分析できる.粒度分布を考慮した広域での三次元計算は計算負荷が大きいため,今回は平面二次元と鉛直二次元に分けて計算を行った.まず,平面二次元の計算で津波の発生と伝播・遡上・土砂移動を再現した.この計算から求めた浅海域での水位時系列を入力データとする鉛直二次元計算により,測線に沿った津波の遡上と土砂移動の詳細な計算を行い,津波堆積物の粒度組成や水理量の水平・鉛直方向の分布などのデータを得た.
平面二次元計算の結果,巨視的な内陸薄層化が再現されたが,微視的には.局所的な地形の高まりの前後で層厚が大きく変動した.鉛直二次元計算では,津波堆積物の内陸細粒化,上方細粒化・粗粒化が再現された.堆積物の平均粒径は,層厚と比較して局所的な地形の高まりによる影響が小さく,内陸に向かうにつれて概ね単調に減少した.これらの堆積構造の形成要因は,粒径による浮遊砂濃度の変化速度の違いによって説明できる.津波遡上時,流速と浸水深は空間的・時間的に概ね単調に減少しており,このことは,流れのキャパシティの減少が浮遊砂濃度や平均粒径の減少となって現れることを示している.
本発表ではさらに,流れのキャパシティの減少と沈降速度のどちらが、浮遊砂濃度や平均粒径の変化に影響するのかを明らかにするために,鉛直二次元計算の境界条件を変えたシミュレーション行い,その結果をもとに津波堆積物と水理パラメータの関係を検討する.
シミュレーションに使用した数値モデルは,オランダのDeltares社が開発した準三次元シミュレーションモデルDelft3Dである.このモデルは,水平方向だけでなく鉛直方向の物理量の分布も解像可能であり,堆積構造と水理パラメータの関係を詳しく分析できる.粒度分布を考慮した広域での三次元計算は計算負荷が大きいため,今回は平面二次元と鉛直二次元に分けて計算を行った.まず,平面二次元の計算で津波の発生と伝播・遡上・土砂移動を再現した.この計算から求めた浅海域での水位時系列を入力データとする鉛直二次元計算により,測線に沿った津波の遡上と土砂移動の詳細な計算を行い,津波堆積物の粒度組成や水理量の水平・鉛直方向の分布などのデータを得た.
平面二次元計算の結果,巨視的な内陸薄層化が再現されたが,微視的には.局所的な地形の高まりの前後で層厚が大きく変動した.鉛直二次元計算では,津波堆積物の内陸細粒化,上方細粒化・粗粒化が再現された.堆積物の平均粒径は,層厚と比較して局所的な地形の高まりによる影響が小さく,内陸に向かうにつれて概ね単調に減少した.これらの堆積構造の形成要因は,粒径による浮遊砂濃度の変化速度の違いによって説明できる.津波遡上時,流速と浸水深は空間的・時間的に概ね単調に減少しており,このことは,流れのキャパシティの減少が浮遊砂濃度や平均粒径の減少となって現れることを示している.
本発表ではさらに,流れのキャパシティの減少と沈降速度のどちらが、浮遊砂濃度や平均粒径の変化に影響するのかを明らかにするために,鉛直二次元計算の境界条件を変えたシミュレーション行い,その結果をもとに津波堆積物と水理パラメータの関係を検討する.