17:15 〜 18:45
[MTT38-P05] 2023年10月9日の鳥島近海で発生した津波を伴う事象に由来すると思われる微気圧振動
キーワード:インフラサウンド、T-相、海底火山、包括的核実験禁止条約
2023年10月9日の日本時間4:00~6:30にかけて,規模が小さく気象庁では震源が決められなかったものの,海中を伝播した音波(T相)が少なくとも14回,父島など鳥島周辺の地震計で観測された.また,規模が小さいにも関わらず,その活動による津波とみられる潮位変動が太平洋の島しょ部および沿岸で観測された.地震調査研究本部地震調査委員会での報告によると,これらT相は米国地質調査所(USGS)により決定された鳥島近海の孀婦岩(そうふがん)付近を震源とする地震群に由来するものと推定される.その後,近くの海域で浮遊している軽石が見つかったことから,海底で何らかの火山活動が生じたのではないかと考えられるが,現在のところ,この一連の事象の発生原因について詳しいことは明らかになっていない.
一方,T相が父島で観測された後,千葉県いすみ市にある包括的核実験禁止条約(CTBT)微気圧観測所および日本気象協会が愛知県豊橋市に設置した微気圧センサーにおいて,上述した地震群の方向から到来したと思われる微気圧振動のシグナルが断続的に観測された.さらに,これらのシグナルの間隔がT相と同じく数分程度の間隔で観測されていることから,T相の波源となった地震群に由来するインフラサウンドがいすみ市,豊橋市の観測点にそれぞれ到来したものと考えられる.また,当時の高層気象データを用いたレイトレーシングの結果,地表付近もしくは地表と熱圏を折り返して伝播する経路を通って,いすみ市,豊橋市の観測点に到来したものと考えて矛盾しない.
以上のことから,いすみ市,豊橋市で観測された微気圧振動のシグナルは,鳥島近海の一連の事象によって生じたインフラサウンドである可能性が高いと考えられる.また,これら遠方まで観測されるようなインフラサウンドが励起されていることから,その発生源として海底火山の活動のような爆発的な現象が関与している可能性が示唆される.
一方,T相が父島で観測された後,千葉県いすみ市にある包括的核実験禁止条約(CTBT)微気圧観測所および日本気象協会が愛知県豊橋市に設置した微気圧センサーにおいて,上述した地震群の方向から到来したと思われる微気圧振動のシグナルが断続的に観測された.さらに,これらのシグナルの間隔がT相と同じく数分程度の間隔で観測されていることから,T相の波源となった地震群に由来するインフラサウンドがいすみ市,豊橋市の観測点にそれぞれ到来したものと考えられる.また,当時の高層気象データを用いたレイトレーシングの結果,地表付近もしくは地表と熱圏を折り返して伝播する経路を通って,いすみ市,豊橋市の観測点に到来したものと考えて矛盾しない.
以上のことから,いすみ市,豊橋市で観測された微気圧振動のシグナルは,鳥島近海の一連の事象によって生じたインフラサウンドである可能性が高いと考えられる.また,これら遠方まで観測されるようなインフラサウンドが励起されていることから,その発生源として海底火山の活動のような爆発的な現象が関与している可能性が示唆される.