日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ46] ジオパークとサステナビリティ(ポスター)

2024年5月26日(日) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)

17:15 〜 18:45

[MZZ46-P11] 箱根ジオパーク入門絵本教材の作成と普及について

*倉科 萌1、山口 珠美2、市川 燈3、小笹 直人2、一寸木 肇4笠間 友博3 (1.南足柄市企画課、2.箱根ジオミュージアム、3.箱根ジオパーク推進協議会、4.大井町教育委員会生涯学習課)

キーワード:絵本、幼児・児童向け入門書、ジオパーク

箱根ジオパーク推進協議会では、2012年の認定以来、地域の魅力を知り、再発見し、誇りをもってもらえる取り組みの一つとして子ども向けの教育普及教材の作成を行っている。
社会科副読本へのジオパーク紹介文の掲載をはじめ、ジオサイトマップやガイドブックはエリア内の小学校4~6年生全員へ配布している。またコロナ禍の3年間はパンフレット「この夏はジオってみよう」を毎年作成し、家の中でも楽しめる実験やジオサイトすごろく等を通し、地域への愛着を深めてもらえるよう努めてきた。ただ、いずれの教材も小学校中学年以上向けに作られており、また、エリア全体の成り立ちをストーリーとして系統だって知ってもらう入門的なものはこれまで作られていなかった。
以上のことを踏まえ、絵本作りワーキンググループを結成し、第一弾として、箱根ジオパークの土地の成り立ちに触れる入門絵本を作成した。完成までの経緯は2023年10月に開催された日本ジオパーク全国大会で発表し(倉科ほか2023)、各団体から高い関心と評価、発展的なアイディアを得ることができた。ここでは作成過程の概要とその後の普及活動について報告する。
絵本の概要
はじめにこの絵本の概要について改めて倉科ほか(2023)に基づいて述べることとする。対象年齢は4歳以上とし、「子育て世代の目線でつくる子どもに伝わりやすい絵本」を目的とした。箱根ジオパークのマスコット「はこジ郎」が案内&解説役として過去へ遡り、自分達の住んでいる景色がどのように形成されていったかを追体験するストーリーとなっている。土地の歴史をわかりやすく、スムーズに伝えることに重点を置いた為、重要ではあるが物語の流れを逸らす可能性がある事項「なぜ火山は噴火すると大きくなるのか」、「海に泳ぐサメの生態的特徴」等は意図的に本文から除いている。その代わり、読み聞かせ者の理解を深めるために補足解説欄を追記した。例えばハマグリの生態や化石のでき方については、神奈川県立生命の星・地球博物館田口公則学芸員からアドバイスをもらい細部まで拘った。一方、ハマグリを含んだ海成層が火山島に押されている姿は、擬人化で表現するなど、分かりやすさにも重点を置いた。イラストはAdobeのIllustratorとFrescoで描き、有償のライセンスフリー画像も併用した。初年度は普及用として300部印刷し、エリア内の小学校、幼保、図書館への配布・貸し出し、読み聞かせ活動を順次進めている。
新たな普及活動の展開
一連の活動がNHKの情報番組「ひるまえほっと」(2023年12月5日放送)で取り上げられた。南足柄市立福沢小学校4年1組での読み聞かせの様子や、子ども達へのインタビュー等が約6分半放映され、エリア内の本屋や子育て支援団体、子育て世帯の特に保育士や教員業務支援員といった子どもと関わる仕事をしている方々からの関心が高く、子ども達や親自身の学びのためにも絵本を活用したいとのお声がけを多く頂いた。例えば、要望のあった小田原市の藤井ピアノ教室へ1冊提供した所、教室内の本棚に配架され、生徒達への貸し出しを行ってくれている。
小学校への読み聞かせはその後も継続し、令和5年度は1,4,6年生の全6クラス計約190名へ行った。残りの学年と新1年生は次年度の活動予定で調整している。
幼保向けには、読み聞かせ用に特化したA2サイズの紙芝居型、絵本型も新たに作成し、既に複数の園で活用している。プレートの移動による火山島の衝突など、年齢的にイメージしにくい描写もあるが、園児達は飽きずに最後まで楽しそうに聞いている。南足柄市立むつみ幼稚園からトータル30分間で要請を受けた際は、読み聞かせの前後に火山やマグマに関連したクイズや、軽石を水に浮かべる実験も実施した。園児や先生達からは、大地の成り立ちや軽石の特徴等について驚きの声や質問が次々と上がり大盛況となった。
箱根ジオパークサポーター向けには、専門の講師を招いた読み聞かせ講座を3月に予定している。
その他新しい試みとして、電子ブック版を作成し閲覧、共有、ダウンロードフリーで公開中である。
https://www.hakone-geopark.jp/information/newa20231023.html
これらの事例・反響を元に、普及できていないエリアを優先に持続的な活動を今後も進めていく。
引用:倉科 萌・市川 燈・山口 珠美・小笹 直人・一寸木 肇・笠間友博(2023)子育て世代の目線でつくる、子どもに伝わりやすい箱根ジオパーク入門絵本教材作成の試み.2023年日本ジオパーク全国大会銚子会場ポスター発表.(なお発表の要旨については、発表の反応とともにJGNオンラインジャーナル『ジオパークと地域資源』に 2024年5月掲載予定である)