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[MZZ46-P18] ジオパークに貢献する調査・研究とは?:室戸ジオパークと苗場山麓ジオパークの例
キーワード:ジオパーク、地域研究、研究助成、ジオサイト、ジオヒストリー
ジオパーク内での研究者による調査・研究活動を支援するために,各地のジオパークで助成金の制度が設けられている.助成金は,1年間で10~30万円のものがほとんどである.このような時間・予算でできる調査・研究は,萌芽的あるいはローカルなテーマ・内容にならざるをえないが,実際には最先端のものでの申請が多いようである.ジオパークと研究者の思惑には齟齬が認められる.ここでは,発表者がジオパークへの貢献を意識して行なったジオパークの助成金による調査・研究を紹介する.
高知県の室戸ジオパークでは,ローカルな川(羽根川)の段丘について調査・研究を行なった.2018年度と2023年度に段丘堆積物をボーリング調査し,放射性炭素年代測定によって段丘の年代を決定した.調査・研究の成果は,市民向けのサイエンスカフェで発表した.また,小・中学生に対して,特別授業を行なった.現在,ボーリングコアは拠点施設で展示されている.今後,新たなジオサイトの看板が整備される予定である.
新潟県と長野県にまたがる苗場山麓ジオパークでは,2023年度にローカルな丘(貝立山)を構成する安山岩の放射年代測定を行なった.従来,安山岩は鮮新世~前期更新世の堆積岩に貫入する岩脈と考えられていたが,堆積岩と同じK-Ar年代が得られた.そのため,安山岩は岩脈ではなく,岩床であることがわかった.今後,貝立山を新たなジオサイトに設定することが望まれる.
このように,ジオパークの助成金による調査・研究は,たとえローカルなテーマや内容であっても,ジオパークにおけるヒストリーの構築やジオサイトの設定・見直しに貢献できるものを行うことが,ジオパークにとって重要であると考えられる.なお,調査研究を行うにあたり,しばしば助成金だけでは不足し,他の予算を充当しなくてはならないことを付け加えておく.
高知県の室戸ジオパークでは,ローカルな川(羽根川)の段丘について調査・研究を行なった.2018年度と2023年度に段丘堆積物をボーリング調査し,放射性炭素年代測定によって段丘の年代を決定した.調査・研究の成果は,市民向けのサイエンスカフェで発表した.また,小・中学生に対して,特別授業を行なった.現在,ボーリングコアは拠点施設で展示されている.今後,新たなジオサイトの看板が整備される予定である.
新潟県と長野県にまたがる苗場山麓ジオパークでは,2023年度にローカルな丘(貝立山)を構成する安山岩の放射年代測定を行なった.従来,安山岩は鮮新世~前期更新世の堆積岩に貫入する岩脈と考えられていたが,堆積岩と同じK-Ar年代が得られた.そのため,安山岩は岩脈ではなく,岩床であることがわかった.今後,貝立山を新たなジオサイトに設定することが望まれる.
このように,ジオパークの助成金による調査・研究は,たとえローカルなテーマや内容であっても,ジオパークにおけるヒストリーの構築やジオサイトの設定・見直しに貢献できるものを行うことが,ジオパークにとって重要であると考えられる.なお,調査研究を行うにあたり,しばしば助成金だけでは不足し,他の予算を充当しなくてはならないことを付け加えておく.