日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[O-07] キッチン地球科学:多様な到達点を生む実験

2024年5月26日(日) 09:00 〜 10:15 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:熊谷 一郎(明星大学理工学部)、鈴木 絢子(東洋大学)、下川 倫子(奈良女子大学)、栗田 敬(東京工業大学 地球生命研究所)、座長:熊谷 一郎(明星大学理工学部)、鈴木 絢子(東洋大学)、下川 倫子(奈良女子大学)、栗田 敬(東京工業大学 地球生命研究所)

09:30 〜 09:45

[O07-03] ゼラチン綿菓子

★招待講演

*藤井 修治1 (1.学校法人 東洋大学)

キーワード:綿菓子、ゼラチン、添加物

日本地球惑星科学連合の大会であるが、綿菓子を取り上げたい。綿菓子は、高温にして溶かした砂糖を遠心力により高速で射出して作り出される繊維状のお菓子である。なんと言っても綿菓子の特徴は、その柔らかな食感と素早い口溶けにある。角砂糖は口の中に入れても容易に溶けることはないが、綿菓子であれば空気中に放置しておくだけでも溶けてしまう。砂糖を綿菓子化することにより、柔らかさと素早い口溶けという新しい特性が付与されたと言える。綿菓子のように、一般的な食材に加工を施して新しい特性や機能を付与した食品をTransformative Foodなどと呼び、近年、創作料理への応用が盛んになりつつある。

さて、綿菓子と言えば砂糖である。最近はカラフルで意匠の凝ったものを目にすることが多くなったが、その食感はまだ制御できていない。ここで、一つ面白い例を紹介したい。例えば、Googleで”綿菓子”と“グミ”の二単語を入れて検索してみてほしい。家庭用あるいは自作の綿菓子機を使ってグミを綿菓子にしてしまう動画が多くヒットするだろう。筆者は、グミはすでに完成されたキャンディーであると思い込んでいたが、これらの動画を見て、それは大きな間違いであると思い知った。そう、綿菓子はまだ進化の可能性を残している。

もし、グミ綿菓子のように砂糖ではない食材を使って綿菓子と同様の食品を作り出せるならば、その綿菓子化に成功する要因は何だろうか?
ある条件を満たせば、どのような食材、いやどのような物質でも綿菓子にできるのだろうか?
綿菓子化に成功したとして、添加物などでその食感をコントロールすることは可能なのだろうか?
我々のグループでは、典型的な食品添加物であるゼラチンを使い、綿菓子化にすることを試みた。今回の発表では、ゼラチンの綿菓子化に関する試みについてお話しする。