13:45 〜 15:15
[O08-P65] バイナリー式地熱発電の研究
キーワード:地熱発電、地質、地球環境
1.背景と目的
本校が所在している宮城県大崎市に属する鳴子地区は、豊富な湯量・泉質の温泉地として全国的に有名である。私たちは地域の特色である地熱資源を利用する地熱発電には、環境への負荷の低さなど大きな利点がある一方、日本では資源量と比較して普及率が低いという事実を知った。持続可能な社会を構築するためには地熱エネルギーの活用は重要な要素である。私たちは地熱発電について文献、調査を通してその現状や課題の調査を行おうと本研究に至った。
2.方法
・地熱発電所への見学や参考文献をもとに地熱発電について情報を収集する。
・地熱発電模型を製作することでより地熱発電への理解を深める。
3.結果
地熱発電への理解をより深めるため、文献や現地見学による調査、地熱発電模型の製作を行った。
現地見学などによって、現在主流のフラッシュ、ドライスチーム方式では、発電をする為に必要な熱水や蒸気を地下から採取するパイプの腐食や、不純物の詰まりによって、熱水の供給を長期間安定して行うことが困難な場合が多い。その都度、新たに生産井を掘る費用が地熱発電施設の維持費を高くしている一因となっていることが分かった。
一方、温泉地の源泉などを利用するバイナリー発電は、低沸点の触媒の蒸気によって発電を行うため、高温の源泉を冷却する際の熱を利用した発電が可能である。よって、新たな生産井を掘削する必要がない点では、上記の方式と比較して維持費を抑えられると考えられる。さらに、バイナリー発電は小型化も可能で、比較的容易に設置できる利点がある。
しかし、デメリットとして見学したバイナリー発電所の中には設備がすべて外国製であった場所が存在し、さらにメンテナンス頻度が多く、そのための部品も海外から取り寄せている為、施設の維持費全体が高額となる要因となっていた。
また、地熱発電模型を製作して理解を深める為、ドライスチーム方式のシンプルな地熱発電模型を製作し、IHヒーターや圧力鍋などを用いて地熱発電を再現した実験を行った。
実験ではエネルギー変換効率は0.01%未満であり、使用したIHヒーターの消費電力の4000分の1となっていた。
この発電効率となった原因を探るためにサーモグラフィーを使用したところ、蒸気吹き出し口付近と圧力鍋とビニルパイプの接合部分から熱が逃げていると推測できる。発電効率を上げる方法として、熱を逃がさないために断熱材を使用する、プロペラの形状を変更するなどの工夫が求められる。
また、今実験で製作した地熱発電模型は実験以外にも発表や出前授業などで使用した。
4.考察と今後の課題
バイナリー発電のコスト面やメンテナンス頻度の問題が解決されれば、地熱資源の活用をさらに加速出来ると考えられる。その為、現在はバイナリー発電を中心に研究しており、バイナリー発電模型を製作することを目標としている。製作では、バイナリー発電の構造上低沸点の物質を媒体とする必要があるため、代替フロンを媒体とし、タービンを回転させる部屋を密閉させ、タービンと外部の発電機を磁石によって連動させることを検討している。また、非接触型の磁石を用いたバイナリー発電を詳細に構想する為、大崎市の磁石販売を行う会社であるプロスパイアへの見学等を行っている。
今後、バイナリー発電模型を完成させ、既に完成しているドライスチーム方式の発電模型との比較や、小中学生などへ向けた地熱発電に関する出前教室での説明などに活用することを目指す。
参考文献
帝国書院編集部編「中学校社会科地図」帝国書院2022年10月等
本校が所在している宮城県大崎市に属する鳴子地区は、豊富な湯量・泉質の温泉地として全国的に有名である。私たちは地域の特色である地熱資源を利用する地熱発電には、環境への負荷の低さなど大きな利点がある一方、日本では資源量と比較して普及率が低いという事実を知った。持続可能な社会を構築するためには地熱エネルギーの活用は重要な要素である。私たちは地熱発電について文献、調査を通してその現状や課題の調査を行おうと本研究に至った。
2.方法
・地熱発電所への見学や参考文献をもとに地熱発電について情報を収集する。
・地熱発電模型を製作することでより地熱発電への理解を深める。
3.結果
地熱発電への理解をより深めるため、文献や現地見学による調査、地熱発電模型の製作を行った。
現地見学などによって、現在主流のフラッシュ、ドライスチーム方式では、発電をする為に必要な熱水や蒸気を地下から採取するパイプの腐食や、不純物の詰まりによって、熱水の供給を長期間安定して行うことが困難な場合が多い。その都度、新たに生産井を掘る費用が地熱発電施設の維持費を高くしている一因となっていることが分かった。
一方、温泉地の源泉などを利用するバイナリー発電は、低沸点の触媒の蒸気によって発電を行うため、高温の源泉を冷却する際の熱を利用した発電が可能である。よって、新たな生産井を掘削する必要がない点では、上記の方式と比較して維持費を抑えられると考えられる。さらに、バイナリー発電は小型化も可能で、比較的容易に設置できる利点がある。
しかし、デメリットとして見学したバイナリー発電所の中には設備がすべて外国製であった場所が存在し、さらにメンテナンス頻度が多く、そのための部品も海外から取り寄せている為、施設の維持費全体が高額となる要因となっていた。
また、地熱発電模型を製作して理解を深める為、ドライスチーム方式のシンプルな地熱発電模型を製作し、IHヒーターや圧力鍋などを用いて地熱発電を再現した実験を行った。
実験ではエネルギー変換効率は0.01%未満であり、使用したIHヒーターの消費電力の4000分の1となっていた。
この発電効率となった原因を探るためにサーモグラフィーを使用したところ、蒸気吹き出し口付近と圧力鍋とビニルパイプの接合部分から熱が逃げていると推測できる。発電効率を上げる方法として、熱を逃がさないために断熱材を使用する、プロペラの形状を変更するなどの工夫が求められる。
また、今実験で製作した地熱発電模型は実験以外にも発表や出前授業などで使用した。
4.考察と今後の課題
バイナリー発電のコスト面やメンテナンス頻度の問題が解決されれば、地熱資源の活用をさらに加速出来ると考えられる。その為、現在はバイナリー発電を中心に研究しており、バイナリー発電模型を製作することを目標としている。製作では、バイナリー発電の構造上低沸点の物質を媒体とする必要があるため、代替フロンを媒体とし、タービンを回転させる部屋を密閉させ、タービンと外部の発電機を磁石によって連動させることを検討している。また、非接触型の磁石を用いたバイナリー発電を詳細に構想する為、大崎市の磁石販売を行う会社であるプロスパイアへの見学等を行っている。
今後、バイナリー発電模型を完成させ、既に完成しているドライスチーム方式の発電模型との比較や、小中学生などへ向けた地熱発電に関する出前教室での説明などに活用することを目指す。
参考文献
帝国書院編集部編「中学校社会科地図」帝国書院2022年10月等