17:15 〜 18:45
[PPS09-P23] TSUKUYOMI:メートル波電波干渉計の実現に向けた月面天文台
キーワード:アルテミス計画、月面天文台、電波干渉計
月面は天文台の建設には厳しい環境であるが、月の裏側は、観測天文学最後のフロンティアとされる、周波数約10MHz以下(波長30m以上)の電波天文学にとって、非常に適した観測サイトである。 そこで最大基線100km以上の約100素子のアンテナを備えたメートル波電波干渉計TSUKUYOMI: Lunar (=TSUKU in Japanese)-YOnder Meter-wave Interferometric arrayを建設することによって、宇宙初期の暗黒時代の解明を目指す。この実現により、地上ならびに地球周回軌道上では得られない、メートル波・デカメートル波の高感度・高空間分解能観測が可能となる。その主たる観測対象は、宇空論最後の未開拓分野である宇宙進化初期の「暗黒時代」である。
波長21cm、周波数1420MHzの中性水素線は、物質分布の情報を提示する。 宇宙初期の放射の波長は、宇宙膨張に伴う赤方偏移 z によって引き伸ばされるため、暗黒時代に相当する z = 140~30 の中性水素線は周波数1~45 MHz の電波となる。 我々の観測システムの主たる目標は、この電波を空間分解能0.3 mrad(周波数 10 MHzにおいて)で観測して、宇宙初期の物質の分布を検出することを目指す。 この時代の物理状態の解明は、ビッグバン以前のインフレーションモデルを制約する可能性が指摘されている。
他方で本観測システムは、太陽系科学への貢献も目指す。木星をはじめとする太陽系内各惑星からの電波を詳細に観測することによって、惑星の電波放射機構を統一的に理解する。アンテナ素子数が増加する最終段階では、例えばAKRタイプの強い放射タイプの、太陽系外木星型惑星からの電波の検出も可能となる。また、干渉計データの解析から正確な情報を獲得するためには、観測サイトの環境計測に基づく多くの校正が重要であることから、月面各サイトにいて、月の電離層、塵などの環境計測の長期モニタリングや、地下構造のデータが得られる。
本計画のプロトタイプ段階では、3素子の伸展式ダイポールアンテナのユニットを設置し、2030年代の本格観測開始時には10素子程度まで増やすことを目指す。これまでに、月面ランダ、小型ローバ、有人与圧ローバへの搭載を想定したアンテナユニットの設計、ならびにアンテナ伸展機構の開発を行っている。これらの観測目標、ならびに本計画の実現に向けた概念検討結果について報告する。
波長21cm、周波数1420MHzの中性水素線は、物質分布の情報を提示する。 宇宙初期の放射の波長は、宇宙膨張に伴う赤方偏移 z によって引き伸ばされるため、暗黒時代に相当する z = 140~30 の中性水素線は周波数1~45 MHz の電波となる。 我々の観測システムの主たる目標は、この電波を空間分解能0.3 mrad(周波数 10 MHzにおいて)で観測して、宇宙初期の物質の分布を検出することを目指す。 この時代の物理状態の解明は、ビッグバン以前のインフレーションモデルを制約する可能性が指摘されている。
他方で本観測システムは、太陽系科学への貢献も目指す。木星をはじめとする太陽系内各惑星からの電波を詳細に観測することによって、惑星の電波放射機構を統一的に理解する。アンテナ素子数が増加する最終段階では、例えばAKRタイプの強い放射タイプの、太陽系外木星型惑星からの電波の検出も可能となる。また、干渉計データの解析から正確な情報を獲得するためには、観測サイトの環境計測に基づく多くの校正が重要であることから、月面各サイトにいて、月の電離層、塵などの環境計測の長期モニタリングや、地下構造のデータが得られる。
本計画のプロトタイプ段階では、3素子の伸展式ダイポールアンテナのユニットを設置し、2030年代の本格観測開始時には10素子程度まで増やすことを目指す。これまでに、月面ランダ、小型ローバ、有人与圧ローバへの搭載を想定したアンテナユニットの設計、ならびにアンテナ伸展機構の開発を行っている。これらの観測目標、ならびに本計画の実現に向けた概念検討結果について報告する。
