17:15 〜 18:45
[SCG46-P09] 丹波帯箕面付加コンプレックスにおける変形様式と流体との相互作用

キーワード:地震、沈み込み帯、変形様式、付加作用、丹波帯
地震発生に伴う岩石の変形・流体との相互作用についての理解は地震時断層の滑り挙動解明において重要である. 深海底掘削では地震発生帯試料の直接採取に成功していないが, 地震発生帯を経験した陸上付加体は地震の痕跡を保存している. そこで本研究では, 兵庫県猪名川沿いに露出する丹波帯箕面コンプレックスのメランジュユニットを調査し, 変形様式について考察した. フィールド調査にて露頭スケールの地質図作成及び変形構造観察, そして露頭に分布する主要岩石の偏光顕微鏡観察を実施した. フィールド調査の結果,block-in-matrix構造を呈す泥岩砂岩混在岩,ブロック状の砂岩及び珪質泥岩,安山岩質の岩脈が観察された. 泥岩砂岩混在岩は固結度が非常に高く, 西北西方向のshear foliationが発達しており南北性の石英脈が多数貫入していた. また,shear foliationに沿って配列する砂岩および珪質泥岩のクラストも観察された.顕微鏡観察の結果,鉱物の選択的形状配列を含むshear foliationが確認された.箕面コンプレックスは丹波帯においてⅡ型地層群に分類され,先行研究では他の地域において広範囲にわたるduplex構造が確認されている.本調査地域では,地層の繰り返しなどの顕著な特徴は確認できなかったが,変形構造様式の特徴より,プレート沈み込み境界での底付け付加作用に関係した変形構造に相当し,発達する鉱物脈は隆起に伴う交代変成作用時に形成したと類推できる.