[S-CG54] 海域火山

[SCG54-14] 2023年10月20日に鳥島近海で発見された軽石の逆追跡漂流シミュレーション

*桑谷 立¹、西川 悠¹、田中 裕介^1,2、渡部 裕美¹、多田 訓子¹、小野 重明¹ (1.国立研究開発法人　海洋研究開発機構、2.オーシャンアイズ)

キーワード：軽石、海域火山、鳥島

2023年10月2日以降，伊豆諸島鳥島近海で地震活動が活発化し，10月9日には伊豆諸島や太平洋沿岸部において観測されるような津波を伴う地震も発生し，火山活動との関連性なども指摘されている．10月20日には、鳥島近海西方域において南北80 kmにわたって浮遊軽石の分布が海上保安庁の航空機観測により確認された．本研究は，この漂流軽石がどこから来たのかを明らかにするために、当時の海流データを用いて軽石粒子の逆追跡漂流シミュレーションを実施した．シミュレーション結果は，漂流軽石がスミス島・明神礁の西方海域付近から，黒潮から分岐した海流に乗って南下してきたことを示しており，10/9に起きた地震・津波イベントとは無関係の起源をもつことを示唆している．また，シミュレーションは，後に同海域において気象庁の観測船により採取された軽石試料の岩石学的特徴や付着生物の特徴，地球化学分析の結果とも調和的である．本講演では，解析結果とともに，軽石の起源や逆追跡シミュレーションの有効性についても議論する予定である．