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[SEM13-07] アイスランド東部に分布する連続溶岩層序群から解明する高逆転頻度期の古地磁気方位変動の予察
地球磁場の極性は,正極性と逆極性との反転を様々な時間間隔で頻繁に繰り返してきている.その逆転史は過去1億6000万年前まで明らかになっており(e.g. Ogg, 2020),とくに1200~1300万年前の期間が最も逆転頻度が高いことが知られている.この期間を含む古地磁気方位変動について,アイスランド溶岩からは島東部の連続溶岩層序群からの報告(Kristjansson et al., 1995)があり,とくにMjoifjördur地域には中間的な極性を記録した溶岩が頻出するセクションが存在する.本研究では,このセクションに近接する西側(EP)と東側(EO)の連続溶岩層序セクション(計66枚)から携帯ドリルにて系統的に試料を定方位採取し,古地磁気方位変動の予察的な解明を試みた.
古地磁気方位の推定は,各溶岩についての段階交流消磁分析を行うことを基本とし,一部の溶岩については追加の試片を用いた段階熱消磁分析も行った.各試片の消磁分析結果はザイダーベルト図を用いて解析を行い,さらにフィッシャー統計により溶岩毎に平均方位を算出するとともに,仮想地磁気極(VGP)の位置を算出した.その結果、下位から上位にかけて,セクションEPではR→N→R→Nの極性変化を,セクションEOでは欠落箇所があるが,R→N→Rの極性変化を認定できた.両セクション間は鍵層であるGerpir Lavaにより対比可能で,複合セクションEP+EOとして,下位から上位にかけてR→N→R→Nの極性変化を認定できた.
アイスランド自然史博物館発行の地質図では,複合セクションEP+EOの最下層の溶岩群が記録したR極性はクロンC5AArに相当するとされる.そのため,このセクションで認定できた極性変化は,クロンC5AAr→C5AAn→C5Ar.3r→C5Ar.2nに相当すると考えられる.各溶岩の枚数や層厚などを考慮すると,13 Maを挟んだ約50万年間の古地磁気方位変動を記録していると考えられる.クロンC5Ar.3rの約10万年間を除き,VGP緯度は±45°付近及びそれ以内で変動している傾向がある.正極性及び逆極性としての性質が弱い地磁気の変動が現れており,高逆転頻度期の地球磁場の重要な特徴である可能性がある.
古地磁気方位の推定は,各溶岩についての段階交流消磁分析を行うことを基本とし,一部の溶岩については追加の試片を用いた段階熱消磁分析も行った.各試片の消磁分析結果はザイダーベルト図を用いて解析を行い,さらにフィッシャー統計により溶岩毎に平均方位を算出するとともに,仮想地磁気極(VGP)の位置を算出した.その結果、下位から上位にかけて,セクションEPではR→N→R→Nの極性変化を,セクションEOでは欠落箇所があるが,R→N→Rの極性変化を認定できた.両セクション間は鍵層であるGerpir Lavaにより対比可能で,複合セクションEP+EOとして,下位から上位にかけてR→N→R→Nの極性変化を認定できた.
アイスランド自然史博物館発行の地質図では,複合セクションEP+EOの最下層の溶岩群が記録したR極性はクロンC5AArに相当するとされる.そのため,このセクションで認定できた極性変化は,クロンC5AAr→C5AAn→C5Ar.3r→C5Ar.2nに相当すると考えられる.各溶岩の枚数や層厚などを考慮すると,13 Maを挟んだ約50万年間の古地磁気方位変動を記録していると考えられる.クロンC5Ar.3rの約10万年間を除き,VGP緯度は±45°付近及びそれ以内で変動している傾向がある.正極性及び逆極性としての性質が弱い地磁気の変動が現れており,高逆転頻度期の地球磁場の重要な特徴である可能性がある.