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[SEM13-09] 磁気顕微鏡による古地磁気学・岩石磁気学の展開と将来
キーワード:磁気顕微鏡、走査型SQUID顕微鏡、量子ダイヤモンド顕微鏡、液体ヘリウム
我々は、2015年から古地磁気研究用として、走査型SQUID顕微鏡の開発を行なってきた[1-2]。地質薄片試料の古地磁気情報をSQUID顕微鏡によって精密に検出・解析することで、太古の地球環境を読み解くことができる[3-5]。地質試料の残留磁化検出には、高感度かつ高空間分解能が望ましいが、そのためにはSQUID顕微鏡のSQUIDチップと試料間の距離(リフトオフ)を極力短くする必要がある。JpGU2023では、リフトオフを縮めること、および電気的接続における接触抵抗を安定させることを目的としたSQUIDチップの実装方式の改良について報告した。新たな実装方式では、従来1本であったサファイアロッドを上下に二分割し、SQUID チップにアルミワイヤをボンディング接続し、その先端は金線と導電性ペーストで接続した。既存の低ドリフトFLL回路で動作させた際の磁場ノイズは約4pT/√Hz@1Hz で感度は約660nT/V であった。また、SQUIDとケーブルを含めた抵抗値は安定しており、端子間抵抗も十分低くなった。改造当初のリフトオフは187μmであったが、さらに断熱実装の改良などにより、薄片試料表面の保護に厚み12μmのフィルムを使用した場合の最短のリフトオフとして最短記録である136μmが達成された。この時の直線電流の発生磁場の理論値との誤差は2%程度であった。リフトオフが187μmから136μmに短縮されることにより、空間分解能が向上するとともに磁気双極子の場合には感度が2.6倍になると期待される。
世界的な液体ヘリウムの供給不足により、価格高騰と納品困難および納期の遅れが常態化しており、今後の液体ヘリウムを必要とするSQUID顕微鏡の分析が容易でない状況は継続する可能性が高い。いっぽう、新たな原理による量子ダイヤモンド磁気顕微鏡が販売され始めるなどの動きも出てきている。これらの状況を踏まえて、SQUID顕微鏡を用いた古地磁気学・岩石磁気学のこれまでの研究とその可能性について改めてとりまとめるとともに、SQUID顕微鏡の運用方法、および常温稼働可能な高感度磁気顕微鏡の今後の可能性について議論する。
参考文献
[1] J. Kawai, et al., IEEE Trans. Appl. Supercond., 26:1600905 (2016).
[2] H. Oda, et al., Earth, Planets and Space, 68:179 (2016).
[3] A. Noguchi, et al., Geophys. Res. Lett., 2017GL073201 (2017).
[4] J. A. Tarduno, et al., PNAS, 117, 2309-2318 (2020).
[5] N. Fukuyo, et al., Earth, Planets and Space, 73:77 (2021).
謝辞
本研究はJSPS科学研究費補助金(20KK0082/21H0452300)の助成を受けて行われた。
世界的な液体ヘリウムの供給不足により、価格高騰と納品困難および納期の遅れが常態化しており、今後の液体ヘリウムを必要とするSQUID顕微鏡の分析が容易でない状況は継続する可能性が高い。いっぽう、新たな原理による量子ダイヤモンド磁気顕微鏡が販売され始めるなどの動きも出てきている。これらの状況を踏まえて、SQUID顕微鏡を用いた古地磁気学・岩石磁気学のこれまでの研究とその可能性について改めてとりまとめるとともに、SQUID顕微鏡の運用方法、および常温稼働可能な高感度磁気顕微鏡の今後の可能性について議論する。
参考文献
[1] J. Kawai, et al., IEEE Trans. Appl. Supercond., 26:1600905 (2016).
[2] H. Oda, et al., Earth, Planets and Space, 68:179 (2016).
[3] A. Noguchi, et al., Geophys. Res. Lett., 2017GL073201 (2017).
[4] J. A. Tarduno, et al., PNAS, 117, 2309-2318 (2020).
[5] N. Fukuyo, et al., Earth, Planets and Space, 73:77 (2021).
謝辞
本研究はJSPS科学研究費補助金(20KK0082/21H0452300)の助成を受けて行われた。