日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS11] 活断層と古地震

2024年5月26日(日) 10:45 〜 12:00 コンベンションホール (CH-A) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、佐藤 善輝(産業技術総合研究所 地質情報研究部門 平野地質研究グループ)、矢部 優(産業技術総合研究所)、安江 健一(富山大学)、座長:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、矢部 優(産業技術総合研究所)

10:45 〜 11:00

[SSS11-06] 小笠原硫黄島における断層近傍での常時微動H/Vスペクトル比の方位依存性

*村越 匠1、出水 里奈1、三澤 良太1 (1.防衛大学校)

キーワード:活断層、常時微動、H/Vスペクトル比、小笠原硫黄島

小笠原硫黄島は活動的な火山で、1年で約1mの隆起を伴う地殻変動が継続して観測されている。2023年10月から活発化した小笠原硫黄島南沖の海底での噴火活動により新島も形成された。小笠原硫黄島の活断層については、島の西側や北東部の複数の場所に活断層があることが報告されている。

村越(2023、第16回日本地震工学シンポジウム)では、小笠原硫黄島の北東部にある活断層近傍での常時微動データを用いてH/Vスペクトル比の卓越周波数、振幅および異方性を用いた測線方向のイメージングを行った。その結果、地中断層による水平方向の不均質構造と推測できる空間パターンの変化を検出できた。傾斜構造や断層構造などの不整形地盤構造があるときにH/Vスペクトル比に水平方向の異方性が生じることが報告されている(例えば Matsushima et al., 2017)。本研究では、地中断層の存在を推定した付近の地盤の不整形性をあきらかにするため、新たに稠密な常時微動観測を実施した。村越(2023、第16回日本地震工学シンポジウム)では断層近傍で10mまたは25m間隔での常時微動観測であったのに対して、本研究では2m間隔で常時微動観測を行った。観測装置にはJU410(白山工業)を利用し、 水平方向(東西、南北)と上下方向の3成分についてサンプリング周波数200Hzで観測地点毎に連続して15分間以上の計測を行った。観測した水平2成分の記録を回転させ方位別のH/Vスペクトル比を求めてから、直交する2方向のH/Vスペクトル比の比から異方性強度を計算した。方位と異方性強度の関係を調べることで、断層付近の地盤の不整形性について解析した。解析の結果、断層の走向及びその直交する方向の組み合わせで異方性強度が強くなり、断層近傍での地盤の不整形性に関係する特徴を検出できた。

謝辞:小笠原硫黄島での観測全般に関して海上自衛隊厚木航空基地隊硫黄島支援班および硫黄島基地気象班に支援していただきました。H/Vスペクトル比の解析にはBIDO (https://staff.aist.go.jp/ikuo-chou) を使用しました.記して感謝致します。