17:15 〜 18:45
[SVC27-P07] 火山土地条件図「蔵王山」、「焼岳」の整備・公開
キーワード：火山土地条件図、火山地形分類、蔵王山、焼岳
１．はじめに
国土地理院は，火山災害の予測や防災対策立案のほか，土地保全・利用計画立案や各種の調査・研究，教育における基礎資料として活用頂くことを目的として，火山の地形分類（土地の表面形態，表層地質，形成年代，成因等による分類）を示した縮尺1/10,000～1/50,000の「火山土地条件図」を，1988年から整備・公開している．近年は，火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要とされた火山（50火山）を優先して整備を進めており，2024年1月１日時点で28火山が整備・公開済みである．本発表では，2022～2023年度にかけて整備し，2024年2月及び5月に公開予定の火山土地条件図「蔵王山」と「焼岳」について，その内容や特徴を報告する．
２．火山土地条件図「蔵王山」及び「焼岳」の概要
火山土地条件図「蔵王山」は，「蔵王火山地質図」（伴ほか，2015）や蔵王山火山防災協議会関係者，有識者へのヒアリング結果等を基に，蔵王山頂付近の御釜を中心とする半径4km程度の範囲と，そこから東流する濁川の遠刈田温泉付近までの帯状の範囲の，合わせて約64km2の範囲を対象に，縮尺1/20,000で作成した．
火山土地条件図「焼岳」は，焼岳とその周辺を含む5万分の1地質図幅「上高地」（原山，1990）や及川（2002）などの焼岳火山群の地質に関する文献，焼岳火山防災協議会関係者へのヒアリング結果のほか，有識者による検討委員会での議論を基に，焼岳山頂を中心に同じく活火山のアカンダナ山，及び山麓の奥飛騨温泉郷や上高地を含む約60km2の範囲を対象に，縮尺1/25,000で作成した．
両火山とも，火山地質に関する情報を参考としながら，空中写真及び航空レーザ測量による詳細な地形データ（DEMデータ）の判読により火山地形を分類するとともに，火山砂防等への活用も意識した侵食地形や集動地形等も組み入れた．
３．成果
火山土地条件図「蔵王山」を図-1に示す（「焼岳」は本稿掲載時点で未公開の可能性があるため，掲載を控える）．用紙サイズは，「蔵王山」はA1判，「焼岳」はA2判である．これらの火山土地条件図は，地理院地図で閲覧可能となる予定のほか，（一財）日本地図センターにおける受注生産によるインクジェット出力図（有償提供），国土地理院ウェブサイトからの画像データ（JPEG形式）及び数値データ（シェープファイル形式等）の無償提供を実施予定である．
４．まとめ
2022～2023年度にかけて，火山土地条件図「蔵王山」と「焼岳」を整備し，2024年2月及び5月の公開に向けて準備を進めた．画像データ及び数値データは国土地理院のウェブサイトから無償提供予定であり，有償のインクジェット出力図と併せて，今後の火山防災の検討や火山研究・教育等への活用が期待される．
謝辞：火山土地条件図「蔵王山」の作成にあたっては，山形大学の伴雅雄教授に助言をいただくとともに，蔵王山火山防災協議会事務局担当者にお世話になった．火山土地条件図「焼岳」の作成にあたっては，有識者検討委員会の委員として信州大学の齋藤武士教授と京都大学の宮田秀介准教授から助言をいただくとともに，信州大学の原山智名誉教授，焼岳火山防災協議会事務局担当者にお世話になった．ここに記して感謝申し上げます．
引用文献：
伴ほか（2015）：蔵王火山地質図，産業技術総合研究所地質調査総合センター．
原山（1990）：5万分の1地質図幅「上高地」，地質調査所．
及川（2002）：焼岳火山群の地質―火山発達史と噴火様式の特徴―，地質学雑誌，108(10)，615-632.
国土地理院は，火山災害の予測や防災対策立案のほか，土地保全・利用計画立案や各種の調査・研究，教育における基礎資料として活用頂くことを目的として，火山の地形分類（土地の表面形態，表層地質，形成年代，成因等による分類）を示した縮尺1/10,000～1/50,000の「火山土地条件図」を，1988年から整備・公開している．近年は，火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要とされた火山（50火山）を優先して整備を進めており，2024年1月１日時点で28火山が整備・公開済みである．本発表では，2022～2023年度にかけて整備し，2024年2月及び5月に公開予定の火山土地条件図「蔵王山」と「焼岳」について，その内容や特徴を報告する．
２．火山土地条件図「蔵王山」及び「焼岳」の概要
火山土地条件図「蔵王山」は，「蔵王火山地質図」（伴ほか，2015）や蔵王山火山防災協議会関係者，有識者へのヒアリング結果等を基に，蔵王山頂付近の御釜を中心とする半径4km程度の範囲と，そこから東流する濁川の遠刈田温泉付近までの帯状の範囲の，合わせて約64km2の範囲を対象に，縮尺1/20,000で作成した．
火山土地条件図「焼岳」は，焼岳とその周辺を含む5万分の1地質図幅「上高地」（原山，1990）や及川（2002）などの焼岳火山群の地質に関する文献，焼岳火山防災協議会関係者へのヒアリング結果のほか，有識者による検討委員会での議論を基に，焼岳山頂を中心に同じく活火山のアカンダナ山，及び山麓の奥飛騨温泉郷や上高地を含む約60km2の範囲を対象に，縮尺1/25,000で作成した．
両火山とも，火山地質に関する情報を参考としながら，空中写真及び航空レーザ測量による詳細な地形データ（DEMデータ）の判読により火山地形を分類するとともに，火山砂防等への活用も意識した侵食地形や集動地形等も組み入れた．
３．成果
火山土地条件図「蔵王山」を図-1に示す（「焼岳」は本稿掲載時点で未公開の可能性があるため，掲載を控える）．用紙サイズは，「蔵王山」はA1判，「焼岳」はA2判である．これらの火山土地条件図は，地理院地図で閲覧可能となる予定のほか，（一財）日本地図センターにおける受注生産によるインクジェット出力図（有償提供），国土地理院ウェブサイトからの画像データ（JPEG形式）及び数値データ（シェープファイル形式等）の無償提供を実施予定である．
４．まとめ
2022～2023年度にかけて，火山土地条件図「蔵王山」と「焼岳」を整備し，2024年2月及び5月の公開に向けて準備を進めた．画像データ及び数値データは国土地理院のウェブサイトから無償提供予定であり，有償のインクジェット出力図と併せて，今後の火山防災の検討や火山研究・教育等への活用が期待される．
謝辞：火山土地条件図「蔵王山」の作成にあたっては，山形大学の伴雅雄教授に助言をいただくとともに，蔵王山火山防災協議会事務局担当者にお世話になった．火山土地条件図「焼岳」の作成にあたっては，有識者検討委員会の委員として信州大学の齋藤武士教授と京都大学の宮田秀介准教授から助言をいただくとともに，信州大学の原山智名誉教授，焼岳火山防災協議会事務局担当者にお世話になった．ここに記して感謝申し上げます．
引用文献：
伴ほか（2015）：蔵王火山地質図，産業技術総合研究所地質調査総合センター．
原山（1990）：5万分の1地質図幅「上高地」，地質調査所．
及川（2002）：焼岳火山群の地質―火山発達史と噴火様式の特徴―，地質学雑誌，108(10)，615-632.