13:45 〜 14:00
[U14-01] 共創型研究の実践から学ぶ知見と考察
★招待講演
キーワード:共創、超学際研究、トランスディシプリナリー手法、参加型アクションリサーチ、パターン・ランゲージ
さまざまな社会、環境問題が深刻化する中、学術的知見を実社会の課題解決につなげるため、研究者が社会のステークホルダーと連携しながら研究を実施する、協働、共創による研究が注目されている。特に最近では、単に情報を公開するだけでなく、研究の成果が社会に根付き、中長期的に波及効果が続くように、研究プロジェクトの計画段階から研究者と地域の住民とが連携する共創型の研究(超学際研究、トランスディシプリナリー(TD)手法、参加型アクション・リサーチなどとも呼ばれる)が望ましいと言われている。TD手法やアクション・リサーチは、日本では一部の研究者により実践されてきた手法であり、地球科学を含む多くの分野では、広く知られていない。また、研究者の多くは、共創の結果として得られた研究結果を分野別のジャーナルや専門書として公表するが、ステークホルダーとの協働、共創の部分について論文や書籍として書くことは少なく、実態を知ることすら難しい。
そこで、これまでの共創型研究の実践から得られた知見を収集し、共創のための「心得」を開発した。暗黙知の発掘と体系化に有効とされる、パターン・ランゲージという手法を用いて、長年にわたり共創型の研究を行ってきた研究者から、地域のステークホルダーとの協働、共創を円滑に進めるために行っている行動やその背景などを聴き取り、複数回のワークショップによりその結果を分類、体系化した。インタビュー対象者の専門分野は、地球科学、工学、理学、社会科学など、多岐にわたるが、実践の方法には多くの共通点が見つかり、最終的に35の実践のコツ(ヒント)を抽出した。心得は、状況(コンテキスト)、課題(プロブレム)、解決策(ソルーション)のセットとして記述され、各セット(パターン)は、状況に応じて起こりがちな課題と、それを解決するための方法を示すものとなっている。そして、特に多くの研究者が共有していた要素を、共創の4大要素(キー・パターン)として特定した。
本発表では、『共創の心得』の中から、特に知識共創活動を促進するための課題に関連するものを取り上げ、議論の材料として紹介する。例えば、 「融合」や「連携」に注力しながらも「分野」も尊重することの重要性、社会における成果を評価すること、公平なパートナーシップと相互学習の姿勢、などが含まれる。これらの課題には、単純な解決策は存在しないが、それらを関係者間で共通認識として共有することで、チーム全体の共創力が高まり、より望ましい課題解決につながることが期待できる。
そこで、これまでの共創型研究の実践から得られた知見を収集し、共創のための「心得」を開発した。暗黙知の発掘と体系化に有効とされる、パターン・ランゲージという手法を用いて、長年にわたり共創型の研究を行ってきた研究者から、地域のステークホルダーとの協働、共創を円滑に進めるために行っている行動やその背景などを聴き取り、複数回のワークショップによりその結果を分類、体系化した。インタビュー対象者の専門分野は、地球科学、工学、理学、社会科学など、多岐にわたるが、実践の方法には多くの共通点が見つかり、最終的に35の実践のコツ(ヒント)を抽出した。心得は、状況(コンテキスト)、課題(プロブレム)、解決策(ソルーション)のセットとして記述され、各セット(パターン)は、状況に応じて起こりがちな課題と、それを解決するための方法を示すものとなっている。そして、特に多くの研究者が共有していた要素を、共創の4大要素(キー・パターン)として特定した。
本発表では、『共創の心得』の中から、特に知識共創活動を促進するための課題に関連するものを取り上げ、議論の材料として紹介する。例えば、 「融合」や「連携」に注力しながらも「分野」も尊重することの重要性、社会における成果を評価すること、公平なパートナーシップと相互学習の姿勢、などが含まれる。これらの課題には、単純な解決策は存在しないが、それらを関係者間で共通認識として共有することで、チーム全体の共創力が高まり、より望ましい課題解決につながることが期待できる。
