[U-15] 2024年能登半島地震(1:J)

[U15-P01] 令和６年能登半島地震について

*青木 重樹¹、岡 岳宏¹、清水 淳平¹、川合 亜紀夫¹、森脇 健¹、桑山 辰夫¹、山田 安之¹、百合本 岳¹ (1.気象庁地震火山部)

キーワード：令和6年能登半島地震、地震活動、津波、強震動

石川県能登地方では、2018年頃から地震回数が増加傾向にあり、2020年12月から地震活動が活発になり、2021年７月頃からさらに活発になっていた。2023年５月５日にはM6.5の地震（最大震度６強）が発生し、以降、地震活動がさらに活発になっていたが、時間の経過とともに地震の発生数は減少していた。
このような中で、2024年１月１日16時10分に石川県能登地方の深さ16kmでM7.6の地震（最大震度７）が発生し、石川県輪島市及び志賀町で震度７を観測したほか、北陸地方を中心に北海道から九州地方にかけて震度６強～１を観測した。また、石川県能登で長周期地震動階級４を観測したほか、北陸地方を中心に東北地方から中国・四国地方にかけて長周期地震動階級３〜１を観測した。気象庁はこの地震に対して、最初の地震波の検知から6.0秒後の16時10分16.0秒に緊急地震速報（警報）を発表した。気象庁はこの地震に伴い、16時12分に新潟県、富山県及び石川県に津波警報を、北海道日本海沿岸南部から山口県にかけての日本海沿岸に津波注意報を発表した。また、16時22分に石川県能登を大津波警報に切り替え、山形県、福井県及び兵庫県北部を津波警報に切り替え、北海道太平洋沿岸西部、北海道日本海沿岸北部及び九州地方の日本海沿岸に津波注意報を発表した（２日10時00分に解除）。この地震により、石川県の金沢で80cm、山形県の酒田で0.8ｍの津波を観測するなど、北海道から九州地方にかけて、日本海沿岸を中心に広い範囲で津波を観測した。また、気象庁が実施した現地調査の結果、新潟県上越市において遡上高で5mを超える、石川県珠洲市と能登町において浸水高で3mを超える津波による痕跡が認められた。この地震は地殻内で発生した。発震機構（CMT解）は北西－南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である。気象庁では、2024年１月１日に石川県能登地方で発生したM7.6の地震及び2020年12月以降の一連の地震活動について、その名称を「令和６年能登半島地震」と定めた。
M7.6の地震の発生前後には、同日16時06分にM5.5の地震（最大震度5強）、16時12分にM5.7の地震（最大震度６弱）、16時18分にM6.1の地震（最大震度５強）、６日23時20分にM4.3の地震（最大震度６弱）、９日17時59分にM6.1の地震（最大震度５弱）が発生し、その後も活発な地震活動が継続している。地震活動域は能登半島及びその北東側の海域を中心とする北東－南西に延びる150km程度の範囲に広がっている。今回の地震活動域では、１月１日16時以降、3月末までに震度１以上を観測した地震が1,800回程度（震度７：１回、震度６弱：２回、震度５強：８回、震度５弱：７回）発生している。気象庁ではM7.6の地震の発生直後から、地震調査委員会（2016）が平成 28 年（2016 年）熊本地震を踏まえて取りまとめた「大地震後の地震活動の見通しに関する情報のあり方」に従って、地震活動の見通しやそれに基づく防災上の留意事項を随時発表した。地震発生から１週間以内は過去事例に基づき同程度の地震発生について呼びかけ、地震発生から１週間以降は大森・宇津公式とグーテンベルグ・リヒターの法則の組み合わせに基づく地震発生確率に基づき2月末まで定期的に呼びかけた。