17:15 〜 18:45
[U15-P102] 岩石・地形制約からみた令和６年能登半島地震による崩壊の特徴と流域地形システムへの影響―中間報告
キーワード：表層崩壊、地すべり、流域システム、地形計測
2024年地震崩壊地（SF）を対象に、形態特性と分布の地形地質的特徴を調べた。奥能登の地形を特徴づける既存地すべり土塊（EL）も調べ、SF、ELと流域地形システムの長期発達過程との関係を予察した。
方法：SFの形態特性として、面積、比高、傾斜、アスペクト比、最大傾斜方位をArc-GIS上で計測した。国土地理院令和6年能登半島地震『崩壊地ポリゴンデータ』と5mメッシュDEMを用いた。ELは、防災科研の『地すべり土塊ポリゴンデータ』を用い、SF同様に解析した。基盤地質は、産総研『能登半島北部20万分の1地質図』に基づき完新統、更新統、新第三紀堆積岩類（沿岸性と外洋性）ジュラ紀～中新世火成岩類（火山岩と深成岩）に大別した。SF・ ELの形態特性と地質・斜面方位との関係、ELとSFの関係を考察した。３月に現地踏査し、解析結果の解釈の妥当性を検証し、主要河谷の地形観察に基づき斜面崩壊土砂の再移動プロセスを予察した。
結果と考察：SFとELの計測結果を図1、2に示す。ELの方が地質による差異が大きい。対象地の斜面分布は、断層や褶曲の走向と直交する南北方向にやや卓越する。SFは南斜面、ELは北斜面に多い。SFは、稜線付近と渓岸沿いに大別され、前者は、宝立山・鉢伏山地に多く、アスペクト比、流下距離が大きく、支谷の塞き止めも生じている。ELの一部が崩壊したと考えられるSFは、308個あり、多くはELの滑落崖や土塊末端崖の崩れである。既存地すべり土塊が再活動をはじめた可能性がある。町野川・河原田川は、断層・褶曲構造を横切る表成谷で、泥質岩域で谷幅が広い。若山川は白米坂断層に沿う従谷で、段丘化が顕著で、段丘面の一部は横ずれを伴う縦ずれ変位を受けている。3河川とも、河口まで数‰と急勾配で、河床・段丘堆積物は流紋岩質の円磨された大礫を含む砂泥層が卓越し、強い側刻力と土砂運搬力を示唆する。今後、独自判読データを加えた斜面変動再解析と、塞き止め堆積物等の年代測定、斜面変動と河川プロセスを連結した土砂移動モデル構築を進める。
方法：SFの形態特性として、面積、比高、傾斜、アスペクト比、最大傾斜方位をArc-GIS上で計測した。国土地理院令和6年能登半島地震『崩壊地ポリゴンデータ』と5mメッシュDEMを用いた。ELは、防災科研の『地すべり土塊ポリゴンデータ』を用い、SF同様に解析した。基盤地質は、産総研『能登半島北部20万分の1地質図』に基づき完新統、更新統、新第三紀堆積岩類（沿岸性と外洋性）ジュラ紀～中新世火成岩類（火山岩と深成岩）に大別した。SF・ ELの形態特性と地質・斜面方位との関係、ELとSFの関係を考察した。３月に現地踏査し、解析結果の解釈の妥当性を検証し、主要河谷の地形観察に基づき斜面崩壊土砂の再移動プロセスを予察した。
結果と考察：SFとELの計測結果を図1、2に示す。ELの方が地質による差異が大きい。対象地の斜面分布は、断層や褶曲の走向と直交する南北方向にやや卓越する。SFは南斜面、ELは北斜面に多い。SFは、稜線付近と渓岸沿いに大別され、前者は、宝立山・鉢伏山地に多く、アスペクト比、流下距離が大きく、支谷の塞き止めも生じている。ELの一部が崩壊したと考えられるSFは、308個あり、多くはELの滑落崖や土塊末端崖の崩れである。既存地すべり土塊が再活動をはじめた可能性がある。町野川・河原田川は、断層・褶曲構造を横切る表成谷で、泥質岩域で谷幅が広い。若山川は白米坂断層に沿う従谷で、段丘化が顕著で、段丘面の一部は横ずれを伴う縦ずれ変位を受けている。3河川とも、河口まで数‰と急勾配で、河床・段丘堆積物は流紋岩質の円磨された大礫を含む砂泥層が卓越し、強い側刻力と土砂運搬力を示唆する。今後、独自判読データを加えた斜面変動再解析と、塞き止め堆積物等の年代測定、斜面変動と河川プロセスを連結した土砂移動モデル構築を進める。